10月 05, 2019 05:30 Asia/Tokyo
  • ギーラーン州の風俗習慣(3)(動画)

今回は前回に続き、イラン北部、ギーラーン州の人々の風俗習慣についてお話しすることにいたしましょう。

 

ギーラーンの盛大な催し物の一つに、格闘技があり、数百年前から現在までずっと盛んに行われています。レスリングの伝統はイランのすべての文化圏において、長い歴史を有しており、あらゆる場所、独自の方法で行われています。

 

ギーラーンの格闘技は、昔から人々の娯楽であり、大きな歓迎を受けてきました。競技の観戦は今も一般の人々の楽しみの一つであり、ギーラーンの伝統的行事となっており、地元の定期市場や小さな村や町で行われる伝統的結婚式で、多くの観客を呼んでいます。ギーラーンの格闘技は、通常のレスリングのルールではなく、独自の伝統的なルールに従って行われます。たとえば、ギーラーンの格闘技は勝者が決まるまで続けられます。競技の開始の儀式は非常に美しく、見ごたえがあります。

 

楽器の音色が地元の住民に競技の開始を知らせると、多くの人がその開催場所に集まります。ギーラーンの格闘技は、広場の一部で行われます。まず初めに競技の参加者が立ち上がり、観客の前で、左膝を地面につけてかがむと、右手の指を土にこすりつけ、口づけをしてそれを額にあてます。これにより観客に敬意を示し、「ようこそ」と言って迎え、自分の席に戻ります。その後参加者は次々と同じことを繰り返し、こうして試合が始まります。どの選手も素早い回転や跳躍、動きを見せ、その力を観客にアピールします。通常、選手はその場所から離れ、広場を歩き、他の選手の前に立ち、手のひらを打ち合わせて挑戦者を求めます。挑戦者は立ち上がり、今度は彼が手のひらを打ち合わせます。こうして力試しのための準備を報告するのです。

ギーラーンの伝統レスリング

 

選手は、対戦相手を決める際に、競技への参加を拒否するか、受け入れるかは自由となっています。選手の体重は、現代のレスリング競技のように、対戦相手を選ぶ基準とはなっていません。さらに、時間の制限はなく、もし長引いた場合は年長の選手の一人が仲介に入り、彼らを離し、しばらく休息した後に再び試合を再開します。

 

試合は、選手の片方が足の裏以外の体の一部を地面につけたとき、負けとなり終了します。勝者は飛び上がりながらリングを去り、時に人々の間を回り、お金を集め、通常は再びリングに上がって挑戦者を求めます。毎日、その日の勝者が決められ、最終日にそうした強豪が集まって対戦します。

 

概して、ギーラーンの伝統文化では、仕事と生活、遊びと娯楽、風俗習慣、その他の文化的な要素が互いに密接に結びついています。各種の競技もこうした特徴を有しています。このため、格闘技の試合の開催は今も村の生活に沿ったもので、収穫が終わる頃、農民の余暇に合わせて行われています。

世界の宗教には様々な形の死後の世界、来世の考え方があり、それらに基づいて人々の死に際する特別な伝統や慣習が行われています。この慣習は人々の間で広まっている宗教の戒律に基づいていたり、先人が残した宗教の信条の影響を受けたものとなっています。この儀式を執り行う中で、2つの目的が考慮されています。一つは信条的な側面と見られる過去の人物の精神を安定させようというもの、そしてもう一つは社会的な側面をもち、家族の威信を守り、敬意を払い、遺族に心を寄り添わせるというものです。

 

ギーラーンでも、葬礼の儀式はこのような原則から外れておらず、ギーラーン中で、こうした儀式の開催において同様の習慣が見られます。ギーラーンの小さな町や村では、死が訪れたときには誰もが集まって、悲しみを町や村全体で分かち合い、すべての人に哀悼や支援を呼びかけます。そしてすべての人が埋葬式に参加し、協力を行い、死者を埋葬した後、家族と共に家まで帰ります。そして近親者は残り、他の人たちは別れを告げます。ギーラーン各地では、埋葬式の後、3日間つづけられる追悼式に続いてコーラン朗誦の儀式の準備がとり行われます。

 

主に、死者を追悼するためのコーラン朗誦の儀式は3日目にモスクで行われます。この間、知人や近親者は、不幸があった人々に悔やみの言葉を述べたり、慰めたりします。さらに近い友人や近親者はそこに留まり、不幸があった家族の悲しみを少しでも軽減するように努めます。コーラン朗誦の儀式は、年長者の許可により、第55章ラフマーン章慈悲あまねく御方、の節を読み上げることで終了し、カルバラーの悲劇を吟唱し、コーランの序章を唱えた後、彼らは遺族と共に家に帰り、そこでお茶やナツメヤシをいただきます。3日目には家族の金銭的な余裕に応じて、昼食が振舞われます。それほど余裕がなければ、このコーランの儀式で終わります。7日目、40日、1周年の儀式があり、この中で40日目の儀式は比較的広く行われています。

 

今日、とくにラシュト、ラーヒージャーンなどのギーラーンの大きな町では、喪に服している徴として、たいてい黒い服を着て、結婚式などの祝祭には参加しません。哀悼の期間も、その人との関係によって異なってきます。ギーラーンの村では、黒い喪服を着るのは一般的ではなく、派手な色の服を着るのを控えるだけです。喪に服している最大の徴は、ヘンナ染めを控えたり、祝祭に参加しないこととなっています。

葬礼の儀式

 

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