1月 06, 2021 16:30 Asia/Tokyo

コーラン第33章アル・アハザーブ章部族同盟、第49節~第50節

慈悲深く、慈愛あまねき、アッラーの御名において

第49節

「信仰を寄せた人々よ、信仰を持つ女性たちと結婚し、彼女たちと交わる前に離婚した場合には、あなた方にとって、彼女たちが再婚までに開けるべき日数が計算されることはない。だから彼女たちを物質的に豊かにし、相応しい形で自由にしてやりなさい」33:49

(49) یَا أَیُّهَا الَّذِینَ آمَنُوا إِذَا نَکَحْتُمُ الْمُؤْمِنَاتِ ثُمَّ طَلَّقْتُمُوهُنَّ مِنْ قَبْلِ أَنْ تَمَسُّوهُنَّ فَمَا لَکُمْ عَلَیْهِنَّ مِنْ عِدَّةٍ تَعْتَدُّونَهَا فَمَتِّعُوهُنَّ وَسَرِّحُوهُنَّ سَرَاحًا جَمِیلا

 

アル・アハザーブ章の初めにお話したように、この章のほとんどは、家族の問題について語っています。この節は、敬虔な人々に向かって、夫婦の戒律のひとつについて次のように語っています。「婚姻の契約を結んだ後、まだ交わっていないうちに男女が別れようと望むときには、女性に対して再婚までの日数が計算されることはない。彼女たちは離婚後すぐに他の男性と結婚することができる」

通常、女性たちが離婚する際は、再婚までに開けるべき日数は、3度の生理を済ませなければなりません。女性は普通の状態で、この期間を設けて、妊娠していないことを確かめる必要があります。

 

この節は続けて次のように語っています。「男女の間に交わりはなかったとしても、離婚の際、男性は妻に対して贈り物を与えるべきである」 コーラン第2章アルバガラ章雌牛、第237節では、男性は婚姻した際に決めた資金の半分を女性に支払う必要があるとされています。さらに、離婚や別れは、好ましくない言動を伴ったものであってはならず、男女は互いを尊重し、あらゆる暴力や悪い行いから遠ざかった上で別れるべきなのです。

 

第49節の教え

  • イスラムは包括的な宗教であり、家族の問題や道徳的な問題に関して、建設的で明白な教えを有しています。
  • 離婚は相手の精神に大きなマイナスの影響を及ぼします。そのため、婚姻の際に決めた金額の半分を支払い、適切な態度を取ることによってそれを償いましょう。
  • コーランでは、離婚したとしても夫婦の間に憎しみが存在してはならないとしており、別れた後の男女が一緒に暮らすこともあるほどです。

 

第50節 

「預言者よ、我々は汝のために、汝が婚資金を支払った妻たちを合法とした。また、神から戦利品として汝に与えられ、汝が所有者となった召使たちも。また、汝と移住してきた父方のおじの娘、父方のおばの娘、母方のおじの娘、母方のおばの娘、彼女たちとの結婚は汝にとって合法である。自らを預言者に捧げた信仰を持つ女性は、もし預言者が望めば、その女性と結婚することができる。とはいえ、この結婚は汝だけに特別なものであって、他の敬虔な人間には許されない。我々は、彼らのために配偶者や召使についてどのような戒律を定めたかを知っている。これは、汝に問題が起こらないようにするためである。神は寛容で慈悲深い方であられる」33:50

یَا أَیُّهَا النَّبِیُّ إِنَّا أَحْلَلْنَا لَکَ أَزْوَاجَکَ اللاتِی آتَیْتَ أُجُورَهُنَّ وَمَا مَلَکَتْ یَمِینُکَ مِمَّا أَفَاءَ اللَّهُ عَلَیْکَ وَبَنَاتِ عَمِّکَ وَبَنَاتِ عَمَّاتِکَ وَبَنَاتِ خَالِکَ وَبَنَاتِ خَالاتِکَ اللاتِی هَاجَرْنَ مَعَکَ وَامْرَأَةً مُؤْمِنَةً إِنْ وَهَبَتْ نَفْسَهَا لِلنَّبِیِّ إِنْ أَرَادَ  النَّبِیُّ أَنْ یَسْتَنْکِحَهَا  خَالِصَةً لَکَ مِنْ دُونِ الْمُؤْمِنِینَ قَدْ عَلِمْنَا مَا فَرَضْنَا عَلَیْهِمْ فِی أَزْوَاجِهِمْ وَمَا مَلَکَتْ أَیْمَانُهُمْ لِکَیْلا یَکُونَ عَلَیْکَ حَرَجٌ وَکَانَ اللَّهُ غَفُورًا رَحِیمًا

 

この節は、神の預言者に語りかけており、預言者が結婚できる女性たちと、預言者だけに特別な例外で、他の敬虔な人々には許されない結婚について語っています。親戚の中では、おじ、おばの娘たちと結婚することができ、親戚以外であれば、あらゆる敬虔な女性と結婚することができます。そしてどちらのグループに関しても、婚資金を定めることが婚姻にあたって決められており、それは婚姻のときに支払われるか、あるいは男性がのちに支払うことを義務付けられるかになります。

 

召使に関しても、イスラムは奴隷制度を認めていません。当時、奴隷は世界中で慣例となっていました。戦争の中で女性たちは捕虜となり、召使にされていました。そしてイスラムも、このような戦争による法則を一方的に破棄することはできませんでした。こうした中、イスラムは一連の法則を制定し、さまざまな方法を利用して、奴隷制を廃止しようとしたのです。

 

イスラムの計画のひとつは、人々に奴隷の解放と彼らへの敬意を推奨することでした。そのため、奴隷の解放は、最高の行いのひとつであり、一部の罪を償うものであると考えられています。このような見方により、イスラム教徒は奴隷を買ったり解放したり、あるいは奴隷と結婚して子供をもうけることで、他の人々が奴隷を侮辱するのを阻止しようとしました。

 

この節はまた、特別な場合の結婚について触れています。それは、預言者だけに行うことが許されており、婚資金を受け取らずに預言者の妻となることを望む女性と結婚することです。その場合、もし預言者も望めば、婚姻契約によってその女性を妻とすることができます。

 

ここで、預言者が何度も結婚したことについて触れ、敵の一部の中傷や無知な友人の質問に答える必要があるでしょう。歴史にあるように、イスラムの預言者ムハンマドは、25歳のときに、自分よりも年上のハディージャという女性と結婚しました。そして、ハディージャが生きている限り、預言者は他の女性とは結婚しなかったと言われています。しかし、アラブ人の間では、一人目の女性が生きている間にも別の女性と結婚することは普通のことでした。

 

ハディージャが亡くなったとき、預言者は53歳でした。これは、預言者が、25歳のときからから53歳になるまでの間、ハディージャとのみ暮らしたことを意味します。その他の預言者の結婚は皆、ハディージャが亡くなった後のことでした。もし預言者が欲望のままに行動する人物であったら、アラブの伝統に従い、若いときに何度も結婚してもおかしくはありませんでした。

 

また、ハディージャが亡くなった後に預言者が選んだ妻たちは、アーイシャを除き、皆、夫を亡くした未亡人でした。これは、預言者が若くて結婚していない女性に走ろうとしていたのではなく、預言者の結婚は、未亡人となった女性を保護する目的を持ったもので、通常、彼女たちからの要請によって行われていたことを示しています。

 

第50節の教

結婚の問題については、合法か禁止かを決めるのは神であり、男女の満足だけでは十分ではありません。

  • 全ての人間は結婚する必要があり、結婚して夫婦となる権利は全ての人、戦争捕虜に対してさえも認められています。
  • イスラムは女性の結婚を保障するものとして婚資金を定め、女性の経済的な権利が守られるようにしています。