2月 01, 2022 16:11 Asia/Tokyo

コーラン第34章サバア章サバア、第42節~第45節

慈悲深く、慈愛あまねき、アッラーの御名において

 

第42節

「そこで、今日はあなた方のうちの誰も、他人に利益や損害を与えたりはしない。我々は、圧制を行った人々に言う。『あなた方が偽りだと考えていた、業火の責め苦を味わうがよい』」

 (42)فَالْيَوْمَ لَا يَمْلِكُ بَعْضُكُمْ لِبَعْضٍ نَفْعًا وَلَا ضَرًّا وَنَقُولُ لِلَّذِينَ ظَلَمُوا ذُوقُوا عَذَابَ النَّارِ الَّتِي كُنْتُمْ بِهَا تُكَذِّبُونَ

 

前回の番組で、神は、多神教徒たちに次のように語っていました。「あなた方は、天使たちを崇拝し、彼らの調停を求めると主張しているが、天使たち自身が最後の審判でそのようなことを否定し、“あなた方は悪魔に従い、悪魔に助けを求めていた”と言っている」

この節は、次のように語っています。「最後の審判の日、神以外は誰も、他人に利益や損害を与えることはできない。例えば、地獄にいる人を天国に連れ出すことも、天国にいる人を地獄に入れることもできない。その日の所有者は神のみである。そのため、自分と神の宗教に対して最大の圧制を行った多神教徒は、その日、現世で否定し、ありえないと言っていた地獄に入ることになる」

 

第42節の教え

  • 最後の審判の状況は、現世とは異なっています。現世において、人間は、他人に利益や損害を与えることができますが、最後の審判では、誰も、自分のことすら決める権利を持ちません。ましてや、他人に利益や損害を与えることなど不可能です。
  • 預言者など、神が自分の仲介として定めている人々を除いて、神以外のものを求めることは、自分に対する圧制です。

 

第43節 

「また、いつでも我々の明らかな節が彼らに読まれるたびに、彼らは言う。『この男は、あなた方を、あなた方の祖先が崇拝していたものから遠ざようとしている。このコーランにあるのは偽りだけだ』 また、不信心に走った者たちは、真理が彼らのもとに来ると言った。『これは明らかな魔術に過ぎない』」

(43)وَإِذَا تُتْلَى عَلَيْهِمْ آيَاتُنَا بَيِّنَاتٍ قَالُوا مَا هَذَا إِلَّا رَجُلٌ يُرِيدُ أَنْ يَصُدَّكُمْ عَمَّا كَانَ يَعْبُدُ آبَاؤُكُمْ وَقَالُوا مَا هَذَا إِلَّا إِفْكٌ مُفْتَرًى وَقَالَ الَّذِينَ كَفَرُوا لِلْحَقِّ لَمَّا جَاءَهُمْ إِنْ هَذَا إِلَّا سِحْرٌ مُبِينٌ

 

多神教徒による最後の審判の否定について述べた前の節を受け、この節は、現世におけるコーランの節の否定に触れ、次のように語っています。「彼らは、祖先の信条に対する偏った考え方のために、コーランと預言者の理論に注目せず、コーランの教えが祖先たちの教えに反しているという理由だけで、コーランを否定し、それを受け入れようとしない」

 

コーランに関する多神教徒のもう一つの主張は、“これらの節は神の言葉ではなく、人間の言葉であるのに、それを神の言葉だと偽っている”、というものです。そして三つ目の主張は、コーランに魅了され、預言者の言葉を受け入れながらも、彼の言葉は魔術であり、神からのものではない、というものです。

 

当然のことながら、コーランが、多神教徒や不信心者の言葉として伝えている、この3つの中傷は、歴史を通して彼らによって行われたものであり、預言者に反対する人々は、時にそのうちの一つ、あるいは二つ、あるいは三つすべてを主張していました。

 

第43節の教え

  • 先人たち、また祖先たちの遺産を守ることは、歴史遺産や古代遺産に関する問題であって、彼らの誤った信条や行動を広めたり、先人たちを無条件に模倣したりすることは、社会の発展や成長を妨げます。
  • 神の預言者たちは、人々の間で、その清らかさと正直さで知られていました。また、決して、他人について偽りの主張を行うこともありませんでした。ですから、自分自身で聖典を記し、それを神が書いたものだなどと主張することは決してなかったのです。
  • 魔術は、経験を積んだ人から教えてもらう必要があります。とはいえ、より経験の豊かな魔術師によってそれが解かれることもあります。しかし、神の預言者たちは、魔術師のもとで教育を受けたことはありません。彼らは世界の創造主である神から、人類を正しい道へと導き、神の言葉を伝える役目のみを与えられました。

 

第44節

「また、我々は彼らに、読むべき啓典を与えていたわけではない。また、汝以前に警告者を彼らのもとに遣わしてもいなかった。彼ら以前にいた人々も[預言者たちを]否定した。」

(44)وَمَا آتَيْنَاهُمْ مِنْ كُتُبٍ يَدْرُسُونَهَا وَمَا أَرْسَلْنَا إِلَيْهِمْ قَبْلَكَ مِنْ نَذِيرٍ

 

第45節 

「しかし、[汝の民の不信心者たちは]先人たちに与えたものの10分の1も与えていないうちに、私の預言者たちを否定した。そこで、[見るがよい。]私の懲罰がどのようなものであったかを」

(45)وَكَذَّبَ الَّذِينَ مِنْ قَبْلِهِمْ وَمَا بَلَغُوا مِعْشَارَ مَا آتَيْنَاهُمْ فَكَذَّبُوا رُسُلِي فَكَيْفَ كَانَ نَكِيرِ 

 

多神教徒が預言者ムハンマドと彼の啓典に対して行った誹謗中傷を受け、この2つの節は次のように語っています。「これ以前に、預言者がクライシュ族のもとにやって来ることも、天啓の書物が彼らに下されることもなかった。もしこれ以前に啓典を持つ預言者が下されていたら、彼らがイスラムの預言者と彼の啓典の教えを、それ以前の預言者と啓典の教えに矛盾するものだと考えていただろう。だが、彼らは、神の啓示を全く知らないというのに、どのような根拠でコーランの節を、預言者が作ったものだと考え、彼を非難するのだろうか?」 この節は続けて、次のように語っています。「メッカの多神教徒たちは、我々が滅ぼした民の10分の1の力も持たないというのに、イスラムの預言者にどのように抵抗していることか」

  

第44節と45節の教え

  • 宗教に関する事柄を否定したり、証明したりするには、預言者たちのやり方や宗教的な内容を根拠にすべきであり、それらを人類の理性や知識のみによってはかり、それを否定したり、受け入れたりすることはできません。
  • 宗教の敵の権力や富は、神の力に対して何も成しえません。ですから、彼らに恐れを抱く必要はありません。神を頼り、神の道を守って抵抗すべきです。
  • 先人たちの歴史は、現在や未来の人々の教訓です。権力を持っていることを驕り、神の宗教に抗ってはなりません。多くの文明や民が、宗教を否定したために滅びていきました。

 

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