奴隷制
(last modified Wed, 05 Oct 2016 11:34:18 GMT )
10月 05, 2016 20:34 Asia/Tokyo
  • 奴隷制

1949年12月2日、国連総会は、人身売買および他人の売春からの搾取の禁止に関する条約を採択し、この日を「奴隷制度禁止国際デー」としました。

この日が定められた目的は、人身売買や売春、子供の強制労働、強制結婚、子供の武器使用の強制などをなくすこととされています。

奴隷制は昔から人類社会にみられてきた現象です。歴史が証明しているように、弱い立場にある人間は、常に、社会の有力者によって悪用され、搾取されてきました。しかし、人類はこれ以上、このような行動を起こすべきではなく、奴隷制を否定すべきときがやってきました。

しかし、現在奴隷制は、これまでとは異なる形をとっています。現在、奴隷は、特に世界の貧困地帯において、これまでよりも安価になっており、奴隷を拘束するために鎖が使用されたりはしません。その代わり、暴力や脅迫によって拉致され、労働を強いられます。

国際人権団体ヒューマンライツウォッチは、最近、スイスのジュネーブで開催された国際会議で、企業や組織に子供への労働の強制をやめさせるため、新たな国際条約を採択する必要があると発表しました。国連労働機関によれば、世界では2100万人が強制労働を強いられているということです。

ヒューマンライツウォッチは、報告の中で、世界的なファッションブランドの製造業者の労働者、たばこ農場で働く子供たち、鉱山労働者、建設プロジェクトで働く移民労働者を含む、このような多くの労働者が悪用され、法的に訴えを起こすこともできないとしています。ヒューマンライツウォッチは、国際労働機関が、各国の政府に対し、企業に人権の順守を義務付けるような新たな条約を制定するプロセスを開始すべきだとしています。

国連の報告によれば、現代の奴隷制は、貧困、社会からの追放、教育を受けていないこと、社会における腐敗の存在に起因しています。このような奴隷制の犠牲者は、常に、社会の貧困層や弱い立場にある人々で、借金を返すために人身売買組織とつながりを持つ移民から、売春をせざるを得ない女性たちまでを含みます。

ヒューマンライツウォッチの子供の権利部門の責任者は、「世界で何百万人という人々が、政府による不十分な法律や企業の不適切な措置により、人権の悪用の対象になっている。だが、現代の奴隷制で最も深刻なのは、人身売買と売春ではないだろうか」と語っています。

発表されている統計によれば、現在、2100万人の男女や子供が、毎日、強制労働を強いられています。これにより、毎年1500億ドルの違法な利益が、違法な個人や組織のもとにもたらされています。残念ながら、こうした奴隷制は、市場の需要に即したあらゆる方法によって、増加しています。

さらに、EUでは、毎年およそ100万人の子供が行方不明になっています。それには家出した子供、誘拐された子供、迷子になった子供、一人で移住した子供たちが含まれます。その多くは少女たちで、彼女たちは売春を強制されるようになります。欧州委員会は少し前、報告の中で、世界の人身売買組織は、年間400億ドル以上の収入を得ていると発表しました。

今日、人権擁護を主張するアメリカをはじめ、多くの先進国が、アフリカの黒人を対象に、違法な医療実験を行っています。アフリカの黒人の数は、この実験を行うのに適しているとされ、そのために、新たな病気が、最初にこの大陸で発見されているのです。

これらは皆、現代世界における新たな奴隷制による結果で、その拡大には、人権擁護を主張する国々が大きくかかわっています。これらの国は、植民地主義や奴隷制といった以前の制度を廃止したものの、新植民地主義をもたらし、古い奴隷制の廃止を訴えながら、ここ数百年は、人類に対する犯罪に相当するような、現代的な奴隷制を実施しています。

国連の関係者によれば、奴隷制は正式に廃止されたものの、いまだに人間の搾取や悪用はなくなっておらず、事実として存在しています。奴隷たちは、以前のように鎖でつながれたりはしていなくても、ヨーロッパのきれいな通りやアメリカの中心街で、雇い主のために働いているかもしれません。

イギリスの研究所は、この国の現代の奴隷制に関する報告を発表し、政府、警察、社会団体は、このような現象に無関心であり、対策をとることができていないと非難しました。ロンドン発行の新聞、ガーディアンは、およそ1年前に初めて、イギリスで新たな奴隷制への対策が行われていないことは、衝撃的な恥ずべき事実だとしました。少し前に、ロンドン南部の住宅で、監禁されていた3人の女性がおよそ30年ぶりに警察によって発見されたとき、イギリスの内務大臣は、このことが報道された後、この国では奴隷制が広がっており、各地に多くの奴隷が存在すると訴えました。

2013年には、世界でおよそ30000万人が奴隷とされ、彼らの中には、特に西アフリカや南アジアで、生まれた時から奴隷だった者もいるとされています。現代の奴隷制度について調査している団体によれば、奴隷一人の値段は平均90ドルで、人間がこの値段で売買されているということです。

ヨーロッパ諸国だけではありません。アメリカやカナダでも、安価な労働力が必要なことが、人身売買組織の活動を活発にしており、毎年これらの組織は、よりよい生活を願う何千人もの人々をこれらの国に移住させ、最も安価な賃金、あるいは最低限の生活環境を提供する代わりに、最も過酷な労働を強いています。

3年連続で発表された奴隷制に関する世界的な指標は、世界でおよそ4600万人が奴隷として暮らしていることを示しています。オーストラリアの人権団体によるこの報告では、奴隷として生まれる人、性的奴隷として売買される人、あるいは借金返済のための労働を強いられる人の数は、2014年、3580万人から、4580万人だったとしています。そのうちアジア出身者が3分の2を占めており、こうした奴隷の58%が、インド、中国、パキスタン、バングラデシュ、ウズベキスタンで暮らしています。

国連の報告は、世界で行われている年間およそ300万件の人身売買のうち、半分の行き先がアメリカであることを示しています。また、数十億という収入の半分もアメリカのものとなっています。

アメリカ国務省は、年次報告の中で、人身売買への対策に関して透明性がなく、この問題に関してNGOとの協力に向けた具体的な努力が見られない国として、イランをはじめとする多くの国を挙げています。2015年のアメリカ国務省の報告のはじめには次のようにあります。「人身売買は、人間の尊厳への侮辱であり、自由の侵害である」 しかし、数々の事実は、アメリカの真の目的は人間の尊厳の尊重ではなく、世界レベルで、自分たちの政治的な目的を遂げるための手段を追求することにあることを示しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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