韓国ソウルの群集事故;目撃者「人ごみで立ち往生」、専門家「防げたはず」
韓国首都ソウルの繁華街での将棋倒し・群集事故について、多くの目撃者から生々しい証言が寄せられているほか、専門家からは「防げたはずの事故」として厳しい批判が提起されています。
今月29日、ソウル市内の繁華街・梨泰院で、新型コロナ関連の制限が解除され久々となるイベントがハロウィンにちなみ開催された中、今回の事件で少なくとも153人が死亡、37人が大怪我を負いました。
ロシア・スプートニク通信によりますと、複数の目撃者からは非常に生々しい証言が寄せられています。
その1人、ソロモン・コーさんは「この通りは下り坂になっていて、この下で転んだ人がいた。その上に人が重なり、後続は先へも進めず、道路にも出られない状態となった。さらに後ろから、遅くならないうちに帰宅しようとする人々で押し合いへし合いとなった」と語っています。
また、ソウル在住で友人らと会うために梨泰院に来た女性カミーラさんは、自身は夜9時頃には引き上げたとし、「誰のせいでもない。これは不幸な事故。あんな人混みではどこかに通り抜けることもできない」としました。
さらに、韓国のブロガーで写真家のparkwithluvさんは、将棋倒しで人々がこれほど多くの犠牲者が出るとは思ってもみなかった、とし、「どこかの施設にアイドルがいたらしく、我を忘れた群衆がその施設に押しかけようとした。1人が押し潰され、次々とドミノ倒しになった」と述べています。
同じくソウル在住のカイラト・エルチムバエフさんは、問題はまさに人々の押し合いにあったとし、現場で大勢の人々を受け入れる上での問題点として、「希望者はすべてのクラブにすんなり入場できるわけではないことも理解しなければならない。身分証明書やドレスコードのチェックがあるため、入口に人が密集してしまう」と指摘しました。
一方、韓国法務省で教育と学校内暴力を扱う専門官を務めた中国・山東大学のJae Joon Chung教授は、「梨泰院のハロウィン祭りは2015年くらいから実施されているが、特に主催者はいないままだ」として、驚くべき実態を暴露しました。
そして、「主催者がいれば安全に関わるインシデント発生時の最低限の行動計画が作成されていたはず。非常時の連絡態勢を設けたり、予防策をとれたはずだ」とし、行政と警察がこうした成り行きを予見できたはずだとして、厳しい分析を示しています。