アフガン・バーミヤンの遺跡が、気候変動で崩壊の危機に直面
アフガニスタン・バーミヤン州にある大仏跡が、気候変動による破壊の危機に瀕しています。
フランス通信が10日水曜、報じたところによりますと、バーミヤン州にある古代遺跡群は、これまで多数の攻撃や盗難の被害を受けてきました。
しかし現在、この遺跡は気候変動という、それ以上に手ごわい敵に直面しています。
ヒンドゥークシュ山脈に位置するバーミヤン渓谷の大仏は2001年、アフガニスタンの反体制組織タリバンによって破壊されたものの、その周辺にはまだ多数の洞窟や僧院、壁画が残されています。
また、バーミヤン渓谷にはシルクロード時代に造られたシャーリゴルゴラ要塞やシャーレゾアーク砦の跡も存在します。
バーミヤンの遺跡群の大半は、この地へのイスラム伝来前から存在しており、現住民は仏教徒ではないものの、この地の歴史は彼らにとって誇れるものです。
専門家によりますと、この遺跡が崩壊の危機に瀕している原因は、乾期と激しい雨の繰り返しという気候パターン、および春の雪解け水の量が増えていることだとされています。
アフガニスタン当局は国連の2016年の報告書で、この遺跡群が気候変動に直接結びついた気象条件が原因で、「崩壊と深刻な浸食の恐れがある」として警告しました。
この地域で数十年に渡り調査・発掘活動を行っている仏考古代表団のフィリップ・マルキ団長はフランス通信の取材に対し、「浸食が加速している。雨で破壊が進み、風も浸食を促進する。アフガンは特に森林破壊により植物が減少しており、地質学的に非常に脆弱だ」と語っています。
また、代表団の活動に賛同する画像サービス会社イコネムも、シャーレゾアークは過去30年に大幅に進んだ浸食により「非常にもろくなっている」としました。
バーミヤン北部に住む男性(21)は、地元住民が長い間気候変動問題に直面していることを指摘するとともに、「天気が変化している。夏はこれまでよりも暑く、冬は寒くなった」とコメントしています。
浸食や気候変動の影響を軽減するには多額の資金が必要ですが、内戦で荒廃したアフガンにとって、そのような金額を工面することは難しいのが現実であり、米ノートルダム大学の気候変動適応イニシアチブは現在、気候変動に対する脆弱性と適応能力においてアフガニスタンを181か国中173位と位置づけています。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://twitter.com/parstodayj