視点
米軍のアフガニスタン撤退、任意か義務か
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米軍のアフガニスタン撤退
バイデン米大統領の指示による、米軍のアフガニスタンからの性急な撤退は、同国の政権崩壊と反体制派組織タリバンの権力掌握につながり、米国内外からバイデン氏への大きな批判を招いています。
米国内では、トランプ前大統領がアフガン情勢危機を理由として、バイデン氏の辞任を要求しました。自身の在任中に米軍のアフガン撤退を計画、開始していたトランプ氏は声明を発表し、「バイデン氏がアフガンに対して行ったことはファンタジーであり、米国史上もっとも大きな失敗の一つとなるだろう」と述べました。
米国外でも、アメリカに同盟するヨーロッパ諸国がバイデン氏の決定を批判し始めました。イタリアのレンツィ元首相は、「バイデン氏はアフガンで歴史的な過ちを犯し、トランプ氏の路線を継続している」と述べました。
しかし、このような批判にもかかわらず、バイデン氏は、20年間に及んだ終わりなき戦争に終止符を打つためとして、今回の米軍撤退という自らの決定の正当性をあくまで訴え続けています。
アメリカは第二次大戦後、冷戦で世界が東西二極に分かれた時、世界の皇帝として振る舞い、共産主義の浸透の阻止を口実に多くの戦争を仕掛け、様々な国や地域に介入してきました。
ベトナム戦争は、東南アジアにおける共産主義体制確立の阻止における転換点として、アメリカの政治的・軍事的没落の始まりとなり、また第二次大戦後、最も多くの犠牲者を出した戦争となりました。
1991年のソ連崩壊とポスト冷戦の時代においても、アメリカはまず新しい世界秩序を主張し、2001年9月11日の同時多発テロ後は、テロとの戦いを口実に、ブッシュ政権時代に新たな好戦主義を開始しています。
アメリカは当初、同時多発テロの主犯としたテロ組織アルカイダとの戦いと、その共謀者だとするアフガニスタンのタリバン政権の転覆を口実として、同国に侵攻し、同政権を崩壊させました。
次にアメリカは、国連安保理の承認なしに2003年3月にイラクへ侵攻します。後にトランプ前大統領は、西アジアにおけるアメリカの戦争には、およそ7兆ドルもの費用がかけられたと主張しています。
このようにアメリカは好戦的・軍国主義な姿勢をとったことで、何千人ものアメリカ兵が命を落とすことになりました。これらの戦争と日々増大するアメリカの軍拡により、同国の軍事予算は恒常的に増加し、また激しい批判を浴びることになります。
重要な点は、アメリカはいまや、外国への介入や世界各地への軍事駐留を減らすことで、財政負担を軽減するだけでなく、圧迫されている自国経済の再建や、中国・ロシアといった国際的な競争相手への対抗に自らの資源を振り向けざるを得なくなっているということです。
その一方で、アメリカは現在新型コロナウイルスによる危機、そして経済成長率の低下や失業率・貧困の増加、社会的混乱などコロナに起因する経済的影響に見舞われています。
こうした中、複数の報告は、アメリカ国内のインフラが深刻な状態にあり、その再建の必要が極めて高いことを示しています。
もっとも米政府は、軍事予算を減らして、道路、橋梁、水道・電気設備といったインフラ更新に必要な財源を充てるかわりに、軍産複合体の利益になるよう毎年軍事予算を増加させています。
それでも隠しようのない現実により、米政府は国外での騒擾誘発を控えざるをえなくなっています。
したがって、トランプ氏がアメリカの対外任務の削減を開始し、また米軍のアフガンそしてイラク撤退の提唱者となった路線は、今やバイデン氏により一つの国家的ニーズとして、または苦渋の選択として追求されていると思われます。
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