ウィーン核合意復活交渉で自らの合法的な要求を強調するイラン
(last modified Sun, 07 Aug 2022 13:38:07 GMT )
8月 07, 2022 22:38 Asia/Tokyo
  • ウィーン核合意復活交渉
    ウィーン核合意復活交渉

オーストリア・ウィーンでの対イラン核合意復活交渉で、イラン協議団顧問を務めるマランディ氏が6日土曜夜、「ウィーンでの交渉は全体的に進展したが、いくつかの問題はまだ未解決だ」と語りました。

マランディ氏はまた、「欧米諸国は、核合意に関してイランに自らの要求と決定を押し付けることはできなかった」と強調しています。

さらに、「イランの要求はすべて、包括的共同行動計画・JCPOA、いわゆる核合意の枠組みの中にあり、ここから逸脱した項目はない」と述べています。そして、アメリカは核合意に関してまともな経歴はないとし、「我々にとって大事なのは、公正な合意の成立である」としました。

対イラン制裁の解除を目指してのイランと5カ国グループによる協議が、5ヶ月間の休止期間を経て4日木曜にオーストリア・ウィーンにて再開されました。

ここ数日の交渉では、残りの問題に関するEUの提案とイランの見解が議論され、ある程度の進展は見られたものの、残りの問題についてはまだ最終的な合意に達していません。イラン代表団が強調する最も重要な問題の1つは、将来的に同国への圧力の梃子となるような問題が残らない、という確約を得ることです。

 

もう1つの重要な点は、制裁解除交渉の新ラウンドで、一部の西側メディアで発表されたこととは反対に、イランが核合意から利益を得ることを妨げていた旧来の問題のどれ1つとして、イラン代表団の議題から削除されていないということです。イランが提示した構想もフォローアップを目的としており、イランの期待する結論の追求達成を目的に提起されています。

 

ウィーン協議における現段階でのイランの要求の1つは、同国内の3つの核施設に関するIAEA・国際原子力機関の事実無根の主張のに決着をつけることです。これは以前から提起され、現在の交渉の重要な骨子となっています。そして現在、議論の重要な部分は、この問題に焦点を当てています。この問題を解決し、将来的にイラン国民に対する圧力の梃子として悪用される可能性のある問題を取り除くことは、根本的な重要性を有しています。

 

間違いなく、イランの核計画に対するいわゆる保障措置(セーフガード措置)をめぐる主張に決着をつけられなかったことは、一方では将来的にこれらの事例の悪用への道を開き、他方では約束不履行を生み出すだけでなく、シオニスト政権イスラエルを含む第三者の主張が、イランに対する新たな疑問と主張の提起を許してしまうことになります。過去を振り返って見ると、IAEA内で生じた政治的プロセスの解決に向け2022年3月に成立した合意は実施できておらず、西側関係国が約束を履行できなかったことがわかります。このため、イランの当然の要求として、IAEAが主張する問題を一度に、そして恒久的に解決済みとすることがあげられます。

 

これに対し、核合意のヨーロッパ3カ国である英独仏の脅迫的な最近の声明によれば、イランがIAEAの主張を解決済みとする過大な要求を出しているとされています。しかし、保障措置の問題はそもそも核合意の枠外の問題であり、イランからの追加の要求などではありません。英独仏は、2015 年には核合意本文の中で、IAEA理事会でイランの核計画に対する主張をやめるという政治的約束を行っています。この問題は、西側諸国のイランに対する行動の歴史を考えると特に重要であり、ヨーロッパ側が主張するように、本気でイランと合意を成立させたいのであれば、アメリカへの追従をやめて独自の立場を取るべきであることに注目する必要があります。

 

約束に違反するという西側諸国の行動からは、彼らが真剣ではなく、強力で安定した信頼できる合意成立に向けた誠意を持たず、イランに精神的圧力をかけ、自分たちがより多くのメリットを獲得しようとしているという疑惑が明らかに強まってきます。

ウィーン協議での西側当事者は、交渉外の論点を持ち出して、イランに合意受け入れを迫ろうとしています。しかしその内容は、イランが核合意から利益を享受できるかどうかは不透明で、IAEAのような各機関がイランに対する疑惑を提示しないという保証もありません。

これに対し、この分野におけるイランのアプローチと論理は完全に明確なものです。 イラン側の見方に注目すれば、現在の協議で成立が予想されるあらゆる合意が、仮にイランの2つの要求、すなわち「対イラン圧力の除去」、および「イランの通商相手が確信できるような制裁の恒久的な解除」につながらない場合、イラン国民の利益が確保されないことから、イランがそうした合意を受け入れる理由は一切ありません。このため、西側諸国が外見上の振る舞いどおり本当にイランと合意を成立させたければ、イランの正当な要求に対して現実的な態度をとり、その受諾により双方が満足する合意に達する道を開くべきだということになるのです。

 


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