視点
目前となったイランの上海協力機構への加盟
ライースィー・イラン大統領が、SCO上海協力機構首脳会合に参加するため、ウズベキスタンを訪問しています。
ウズベキスタン・サマルカンドでのSCO首脳会合の傍らで、ライースィー大統領にはロシアやインド、中国など各国の当局者との10の会談が予定されています。
SCOは、テロ・過激主義への対抗と、経済協力を目的に、2001年にカザフスタン、中国、キルギス、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンにより創設されており、2017年にはインドとパキスタンも加盟国しました。
そして現在では、イランのSCO正式加盟手続きが進められています。
サマルカンド訪問中のイランのアミールアブドッラーヒヤーン外相は14日水曜、SCOの張明事務局長と会談し、イランの正式加盟のための誓約書に署名しました。
イランの正式加盟は、現在ウズベキスタン・サマルカンドで開かれている第22回SCO首脳会合で各加盟国により署名がなされることになっています。
SCOの主な目標は、地域での政治・経済的協力の発展及び、平和と安全、安定の維持とされています。
SCO加盟国の総人口は世界の総人口の40%以上にも及び、また世界のGDP国内総生産の約 25%を占めています。
この組織の加盟国の経済規模は20兆ドルと発表されており、これは過去20年間に比べて13 倍に増加しています。またこの組織には世界最大のエネルギー生産国であるロシアと、世界最大のエネルギー消費国である中国が加盟しています。そして、今回正式加盟を目前に控えたイランには膨大な石油とガスの埋蔵量もあり、ロシアとともに、SCOの経済を補完する能力を持っています。
イラン暦昨年度の1400年 (2021年3月21日~2022年3月20 日) における、SCO加盟国とイランの貿易額は 371億6800万ドル以上に達し、この額は前年に比べて33%の増加となっています。イランはまたSCOに対し、米ドルが支配する世界の金融システムに効果的に対処すべく、中国、インド、ロシアの3カ国との商業取引専用の統一通貨の設定を提案しました。
運輸およびトランジット輸送の分野も、イランとSCO加盟国間の協力分野の1つになります。イランは北と南、東と西をつなぐ架け橋と考えられており、かつ東アジアと中央アジアを、陸路と海路でヨーロッパとアフリカに接続している。この利点は、中国の輸出を含むSCO加盟国の貿易にとって非常に重要な要素となっています。
この点について、イラン・中国合同商工会議所のハリーリー会頭は、世界経済の将来におけるアジア、特に南アジアと東南アジアの役割を指摘しており、「東アジアと南アジアには、西アジアと西側世界とつながる境界があり、この境界は事実上イランとなっている」と語りました。
イランのSCO加盟は、間違いなく重要な成果と見なすことができます。米国が経済的圧力と政治的孤立の助長によりイランをその立場から退かせようとしている一方で、SCO加盟国はイランの政治的孤立を狙った工作を捻挫させると共に、地域統合への参加に向けた機会を生み出したことになります。
政治、安全保障、経済、商業、金融、銀行、エネルギー分野におけるこの地域的組織のメンバーの広範な協力により、イランの国際交流にとってより適した環境が形成されることになると思われます。