視点;モハンマディ解説員
イラン・パキスタン国境の緊張終結、関係の継続および強化を強調した両国
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イランとパキスタンの国旗
パキスタンの政治・軍事指導者らが国家安全保障委員会の緊急会議で、自国とイランの国境地域における最近の緊張が終結したことを強調し、イランと国交再開および相互の大使の派遣再開で合意したとしました。
パキスタン国家安全保障委員会の緊急会議は19日金曜夜、同国のカーカル首相が議長を務める中、首都イスラマバードにて開催されました。同委員会の決定により、パキスタンは2日後にイランとの外交関係を全面再開し、両国の大使らも間もなく相互の国に派遣される予定となっていますす。
カーカル首相は19日午後に国家安全保障委員会と特別閣議に出席した後、イランとの二国間関係の重要性を強調し、「イランとの国交を最近の一連の事件前の状態に戻すことは重要である。歴史を通じて、両国は友愛的な協力関係を持ち、相互の敬意と友情を持って交流してきた」と述べました。
パキスタン外務省も、「わが国とイランの外相による電話会談で、双方は様々な分野での両国関係の強化を強調した」と表明しています。
ジラニ・パキスタン外相はアミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相との電話会談で、「両国は対話と外交を通じて緊張につながる枝葉の要素を克服していき、相互の歴史的関係をさらに深化させる道を開くことが可能である」と語りました。
これに先立ち、イラン外務省も18日木曜に声明を発表し、「我が国の政府は、敵がイランとパキスタン間の良好な兄弟関係を緊迫化させることを許さない」と表明しています。
今月17日、パキスタン国境近くにあるジャイシュ・アル・ゾルムの本拠地に対するイランイスラム革命防衛隊の攻撃が実行された一方で、イラン南東部のケルマーン市では2週間前、故ソレイマーニー・イスラム革命防衛隊司令官の殉教記念日に殉教者墓地に向かうルート上で爆弾テロが発生し、100人近くの殉教者を出しました。
ケルマーンでのこの爆弾テロ事件のほか、昨年12月15日には、パキスタン国境に近いスィースターンバルチェスターン州ラースク郡で複数回のテロ攻撃が発生し、ラースク警察本部に対するテロ分子の攻撃で警察官11人が殉教していました。
専門家の話によりますと、イラン・パキスタン国境地帯におけるここ数日間の出来事により、両国にとってのテロ挑発を原因とする一触即発の事態が改めて浮き彫りになっています。
これに関連して、パキスタン上院国防委員長を務めるムシャヒド・フセイン・サイード上院議員は声明を発表し、「緊張の高まりは敵を利するだけである。これゆえ、同胞関係にある我が国とイランが今必要としているのは対話と外交である」と語りました。また、「両国の間には基本的な利益上の矛盾はなく、テロは両国にとって共通の脅威である」と表明しています。
パキスタンのラージャ・パルヴェーズ・アシュラフ 下院議長も、同国として外交を通じてのテロをはじめとした諸問題の解決を求めていると強調し、「我が国は特にイランをはじめとする諸国の領土保全及び国家主権を尊重する」と語りました。
イランはパキスタン側に対し、両国国境の治安悪化に関与しイラン国境警備隊員を殉教に至らせたテロリストを特定、逮捕し、処罰すべく本格的かつ決定的な措置を講じることを期待しています。