雲の森から火星の丘まで:北部セムナーン州のおすすめ観光名所
イラン北部のセムナーン州には、手付かずの砂漠地帯や美しい森林などの自然のほか、見逃せない歴史的な名所が数多くあります。
【ParsTodayイラン】暑く乾燥した気候のセムナーン州は、アルボルズ山脈とキャヴィール砂漠の間に位置しています。ここでは、同州にある数百の美しい場所の中から訪れる価値のある名所の一部をご紹介していきます。
アブル森林
セムナーン州シャフルードから40キロ離れた場所には、アブル(ペルシア語で雲の意)の森と呼ばれる名所があります。推定3万5000ヘクタールの広さを持ち夢のような景観を生み出すこの森は、数千年の歴史を持つヒルカニア森林の一角に位置します。この森では地理的条件から、雲海が森の木々の間に広がる珍しい自然現象が見られます。その様子は、まるでそれらの木々があまりに高く空の雲の間に突き出たかのように感じさせます。
リーグ・ジェン砂漠
セムナーン州をはじめとしたイラン中部の砂漠は、間違いなく最も自然のままに残る砂漠を体験できる場所でしょう。リーグ・ジェン砂漠もそのような砂漠のひとつで、柔らかい砂丘の上の散策はとても興味深いものです。また、砂漠の一角をヴァルギー川の一部が流れている様子は、この場所をさらに美しく見せています。この砂漠は、昔は隊商がほとんど通過できずに人の手が入らず、さらに強風のたてる独特の音が砂漠の静寂の中で聞かれることから、周辺地域の人々によってリーグ・ジェン(ペルシア語で「悪霊の砂」の意)と呼ばれていました。
バーヤズィード・バスターミー廟と歴史的建造物群
セムナーン州シャーフルード郡の古い街・バスタームにある歴史的建造物群は、イラン内外の観光客に注目されてきました。この建造物群には、バスタームの古い歴史的な建物が多く含まれており、その大半は約1000年前のセルジューク朝時代に遡ることができます。中でも有名なのは、スルタン・アル・アーレフィンの別名でも知られる西暦9世紀に活躍したイスラム神秘主義者、バーヤズィード・バスターミーの霊廟とされている建物です。その隣には、バーヤズィードの庵、サファヴィーの柱廊式ポーチ、イマームザーデ・ムハンマドの廟、バスタームの光塔、カーシャーネの塔などが並んでいます。
メッリーフ丘陵
セムナーン州ダームガーンにあるメッリーフ(ペルシア語で火星の意)の丘は、その自然環境の特徴が火星に最も似ているとされ、NASA・米航空宇宙局も火星に環境が似た場所としたことから、国外の観光客からも注目されるようになりました。自然に出来上がったこの広大な丘は、特別なミネラル塩のために赤い色をしており、その景観は火星の赤い丘を思い起こさせます。
チャハール・スーグ浴場
チャハール・スーグ浴場は、セムナーン州シャフルードにある歴史的建造物群のひとつです。この古い浴場の建設はサファヴィー朝時代(西暦1501 ~1736年) に遡り、市内最古の浴場であるとともに、州内で最も人気のある観光地のひとつとなっています。かつて公衆浴場として使われていたこの建物は、持ち送り構造の高いドーム形の天井を持ち、上部のガラス張りの小窓から内部に光を取り込む造りとなっています。
チェヘル・ドフタラーンの塔
チェヘル・ドフタラーンの塔は、セムナーン州ダームガーンの中心部に位置する歴史的な建物です。西暦1054年にアブーショジャー・エスファハーニーという人物によって建てられたとされるこの塔は、高さは約15m、直径約5mの煉瓦製で、質素な外観を持ち、クーフィー書体の文字が唯一の装飾となっています。また、この塔の強度は特筆すべきもので、その姿は建造から約1000年経ち幾度も自然現象にさらされながらも当時のままに保たれています。