イラン最高指導者が語る覇権主義勢力の好戦主義の理由
イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は25日朝、イラン・イラク戦争や近年の対テロ戦争に従軍した元軍人らと面会し、当時のサッダーム大統領率いるイラク・バアス党政権がなぜイランに対して戦争を仕掛けたのかを解説しました。
【ParsTodayイラン】ハーメネイー師はこの演説で、特に当時を知らない若い世代に向けてイラン・イラク戦争が始まった理由について、「イランの国境への侵攻を企図したのはサッダームだけではなかった。当時のアメリカやソ連、それらの追随国も同じ意図を持っていた」と語りました。この記事では、そのハーメネイー師による解説を紹介していきます。
世界の覇権勢力にノーを突きつけたイスラム革命
ハーメネイー師は、世界の覇権勢力がイランのイスラム革命に敵意を持つのは、この革命が彼らに対して持つメッセージを容認できないからだとし、
「イラン・イスラム革命は、世界の覇権主義勢力とそれによる破壊的秩序に対する叫びだった。その秩序とは、世界を支配する者と支配される者に分割し、支配者による文化や思考を他国に押し付けるものだ」
と語りました。
各国の民衆を魅了したイスラム革命
ハーメネイー師はまた、「覇権主義勢力は、イスラム革命が各国の民衆に与えた新鮮な魅力を容認できず、イランへの攻撃の機会をうかがっていた。そこでサッダームという権力欲にまみれた独裁者をそそのかし、イランを攻撃させた」と語りました。
覇権主義に反対するイスラム革命
ハーメネイー師は、イランがあらゆる国と「敵対」しているという一部の見方について、「『敵対』があらゆる国との政治・経済関係の断絶を意味するのなら、現実とはまるで異なる。なぜなら我々は、世界人口の半分以上が住む国々と関係を構築しているからだ。反対に、『敵対』が覇権主義勢力への反対を意味するのなら、それはその通りだ。我々は今でも革命初期と同じように、アメリカを筆頭とする覇権主義勢力への反対を言明している」と述べました。
強権主義の拒絶
ハーメネイー師は、「イラン国民が様々な分野で抵抗したおかげで、現在イランへ侵攻しようとする者はいない」とした上で、「覇権主義勢力は現在、違う形で敵意を募らせている。その敵意の理由は、(彼らが唱える)核問題や人権、女性の権利などといったものではなく、彼らの世界秩序に反対するイスラム革命の声に我慢がならないのだ。イラン国民やイスラム共和制が彼らの物言いを受け入れない限り、その敵意は続く。我々がそれを受け入れることはない」と語りました。
イスラム革命の精神的魅力
ハーメネイー師は、イスラム革命が持つのは覇権主義勢力に立ち向かう政治的魅力だけではなく、神への信仰という精神的魅力も各国の民衆や若者を惹きつけ、敵を恐れさせているとしました。
ハーメネイー師はこの日の演説で、現在のパレスチナやレバノンの抵抗をイラン・イラク戦争時のイランに例えて「ジハード(聖戦)」と形容し、
「パレスチナというひとつのイスラム教の国が、この世で最も醜悪な不信仰者(=イスラエル)によって占領されている時、パレスチナとアクサー・モスクを本来の所有者のもとに還すよう努力することは、絶対的な宗教令である」
と述べました。そして、
「ヒズボッラーは身を挺してガザを守っている。(最近のテロのような)困難な出来事に見舞われても、ジハードを続けている」
と称えました。
また、イラン・イラク戦争とのもうひとつの類似点として、「現在起きている戦争で、醜悪な敵は最大限の装備を保有している。米国はその背後にいながら、『関知していない』『関与していない』と言うが、それは事実に反する」と述べました。
その上で、イスラエルが潤沢な資金、武器、設備、宣伝能力を有していることに触れ、
「イスラム戦士の側が持つ設備は、相手に比べれば非常に些細なものだ。しかし、勝者はそのイスラム戦士、つまりパレスチナやヒズボッラーなのだ」
と述べ、その理由として、「もしイスラエルがガザやヨルダン川西岸、レバノンで彼らを倒すことができていれば、自らの優位性を示すのに家屋や病院、学校を爆撃し、女性や子供を殺害する必要などなかったからだ」としました。