イラン大統領のアルメニア訪問の成果は？

イランのペゼシュキヤーン大統領は18日、アルメニアを公式訪問しました。アルメニアは今月、隣国アゼルバイジャンとアメリカとの3カ国合意で、イランとの国境地帯を99年間にわたって米国に貸与し、回廊を建設する許可を与えました。今回のイラン大統領の訪問が意味するものは何でしょうか？

【ParsTodayイラン】ペゼシュキヤーン大統領は出発前のインタビューで、今回のアルメニア訪問がイランの外交政策における優先事項である「近隣諸国との友好・協力」の一環であると述べました。

同大統領の政治顧問であるマフディー・サナーイー氏は、この訪問の目的の一つとして、特に商業分野での二国間関係の強化と、それに関する文書の署名が行われることを挙げました。

首脳会談の他にも、イラン・アルメニア両国の高官らが、政治、社会、文化、観光、産業、教育、道路・都市開発、芸術、保健・医療などの分野での協力に関する10の合意文書に署名しました。

アルメニアのパシニャン首相は会談後の記者会見で、両国が国境を流れるアラス川に第2の橋を建設することで合意したことを明かしました。これは、両国間の貿易量が日々増加していることを受けたものであり、現在、両国の貿易額は10億ドルに達しています。将来的には、この額を30億ドルにまで増加させることを目指すとしています。

パシニャン首相はまた、イランのユーラシア経済連合（EAEU）との協力が、この目標達成に向けた重要な要素であることを強調しました。首相はさらに、イランとEAEU間で締結されている自由貿易協定が、両国の企業に新たな機会を提供していると述べました。

今回のイラン大統領によるアルメニア訪問は、両国間の関係強化と地域協力の観点から重要な成果がありました。この訪問は二国間関係を強化する重要な一歩となるだけでなく、コーカサス地域に対するイランの外交政策についても明確なメッセージを発信しました。訪問の主な成果は以下の通りです。

戦略的合意と二国間協力

政治、経済、文化をはじめとする様々な分野に関する協力文書や共同声明が署名されました。

外交および文化的交流

ペゼシュキヤーン氏とアルメニア大統領のハチャトゥリャン氏との会談では、両国の歴史的および文化的な友好関係が強調されました。また、アルメニア在住イラン人やアルメニアのイラン学研究者との対話も行われ、文化外交の重要性が示されました。

地域および国際的な立場

今回の訪問は単なる外交的意義にとどまらず、地域および世界のプレイヤーに重要な戦略的メッセージを送るものでした。安全保障の観点からは以下の点が重要なメッセージとして挙げられます。

1．アルメニアの領土保全の支持

イランはこの訪問において、アルメニアの独立と領土保全を明確に支持し、アルメニアとアゼルバイジャンの間で緊張が続く中で抑止力としての役割を果たしました。この立場は、地域の大国に対して、イランが力による現状変更に反対する立場を取っていることを示しました。

2．アメリカとNATOによるコーカサス関与への反対

ペゼシュキヤーン大統領は今回の会談で、アメリカの地域進出が不安定化の要因であるとし、地域問題は地域の国々によって解決されるべきだと強調しました。この立場は、外国勢力の介入のない地域安全保障についての議論を強化し、地域内の独立した国々の協力を促進しました。

3．アルメニアとの安全保障協力の強化

イランとアルメニアは安全保障および情報共有の協力について合意し、共通の脅威（テロ、密輸、外国の干渉）に対処するための協調が強化されました。この協力は、南コーカサスにおける共通の安全保障メカニズムを創設する可能性を秘めています。

4．イランの物流回廊および国境の安全

イランは、ホルムズ海峡から黒海に至る回廊の開発を強調し、地域の通商路における安定の保証役としての立場を確立しました。国境インフラの改善における協力は、緊張の緩和や重要な地点での安全向上に貢献します。

5．平和と共生のメッセージ

ペゼシュキヤーン大統領の訪問は、対話、相互尊重、文化協力を軸にしたイランの平和的なメッセージを地域に発信しました。この柔軟なアプローチは、戦略的立場とともに、コーカサスでの民族的・政治的緊張の緩和に寄与しています。今回の訪問は、イランとアルメニアの二国間関係を強化するだけでなく、イランが南コーカサスにおける積極的でバランスの取れた平和的なプレーヤーであることを確認させました。

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