イランとユーラシア経済連合の同調:地域・世界経済への新たな道筋
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ベラルーシで開催されたユーラシア経済連合政府間理事会の会合参加者の合同記念写真
ベラルーシの首都ミンスクで、南北回廊の強化を目的としたEAEUユーラシア経済連合の政府間理事会の会合が、イランを含む加盟国とオブザーバー国の首相・首脳レベルで開催されました。
EAEU政府間理事会のイランを含む加盟国および、オブザーバー国の首相・首脳級会合が30日火曜、ミンスクで開催され、イラン領内を通過する南北回廊ルートを含めた輸送の強化に関する決議が採択されました。
EECユーラシア経済委員会エネルギー・インフラ委員会のアルズィベク・コジョシェフ委員は「ペルシャ湾岸のイラン領土と港湾は、インドに至る南北回廊にとって極めて重要な拠点である」と語っています。また「この回廊の発展に向けた、EAEU加盟諸国による多大な努力が計画されている」と付け加えました。
また、アターバク・イラン商鉱工業大臣もこの会合で「イランとEAEU加盟国との通商関係はますます拡大している」と述べています。
ロシアのアレクセイ・オベルチュク副首相も今回の会合後、「イラン・EAEU間の自由貿易協定により、イラン・ロシア間の通商金融流通は即座に35%増加した」と語りました。
イランとEAEU加盟5カ国は2025年5月15日より自由貿易協定を実施し、87%の製品に対する関税を撤廃してきており、2025年から2028年までの課題の決定及び、非関税障壁の撤廃に向けて実際的な足がかりを踏み出しています。
ミンスクで開催された今回のEAEU政府間理事会は、加盟国間の経済、政治、技術、エネルギー関係の拡大に向けた計画策定と目標設定の場となっています。イラン世界のエネルギー市場における影響力と知識ベース技術、そして独自の地政学的地位を背景に、今後数年間においてEAEU圏内の関係強化に影響する要因となり得ます。
イランとEAEUとの協力拡大は、地域・世界経済に重要な影響を及ぼす可能性があります。この協力はイランの経済力を活性化させ、地域経済および世界の経済にも影響を及ぼすと考えられます。
イランとEAEU加盟国(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギス)間の関税の段階的撤廃および製品、資本、サービスの貿易取引促進は、地域貿易を活性化させています。イランはこのルートの重要な中継点として、中央アジアからインド洋への貨物輸送においても重要な役割を果たしており、輸送コストの削減と貿易の迅速化に貢献しています。またこの協力により、西側諸国による制裁下にあってもイランは規制を克服し、地域の貿易ハブ(実質的な中心)となることが可能になっています。
対イラン協力の強化は、エネルギー、農業、輸送、工業分野におけるEAEUの可能性を高め、世界経済におけるこの組織の地位を強化することに繋がります。また両者間のこの協力は、西側諸国の金融システムへの依存を減らし、経済の多国間主義の推進を目指す国々にとってのモデルとなり得るものです。
イラン・EAEU間の協力の長期的な展望は、地域で影響力ある経済・政治ブロックの形成につながると見られます。3年間の協力ロードマップ(2025~2028年)には、デジタル貿易、海上輸送、税関、そしてハラール(イスラムで合法とされる)貿易の発展が含まれており、これによりイランは新興経済地域においてより積極的に活動できるようになると思われます。
イランとEAEUの協力拡大は、一通商協定を超えて地域・世界経済におけるイランの立場を再定義するための戦略的な足がかりだと言えます。