国連事務総長による西側への核合意実施の要請
(last modified Thu, 21 Jul 2016 11:39:38 GMT )
7月 21, 2016 20:39 Asia/Tokyo
  • 国連事務総長による西側への核合意実施の要請

国連のパン事務総長が、世界の大国に対し、イランとの歴史的な核合意が、イラン国民にとって具体的な利益をもたらすことを保障するよう求めました。

アミーンザーデ解説員

イランの政府高官は、最近、「イランは制裁の緩和の恩恵を完全に受けていない」と強調しました。パン事務総長は、20日水曜、核合意の実施に関する安保理への最初の報告の中で、アメリカにあるイラン中央銀行の資産の凍結、査証発給の制限、制裁の不完全な解除に対するイラン側の抗議に触れました。

一方で、アメリカは、このパン事務総長の報告を批判しました。アメリカのパワー国連大使は、安保理の会合で、「アメリカは、この報告のさまざまな箇所に完全に反対している」と語りました。さらに、「国連安保理は、核合意に基づく制裁の緩和に関するイランの不満など、さまざまな問題に関して報告を提示する権限を、パン事務総長に与えてはいない」としました。

こうした中、パン事務総長は、20日に発表した声明の中で、改めて、アメリカに対し、制裁緩和の範囲を明らかにし、経済合意を促すよう求めました。

対イラン制裁への違反を理由に罰則を受けたヨーロッパの銀行は、イランとの取り引きの再開に戸惑いを示し、「再び罰則の対象にならないという保障を求める」と語っています。一方で、アメリカ国内から聞こえてくるのは、核合意へのマイナスのアプローチを示す流れの継続です。これについては、今年度の核合意に対するアメリカ共和党の計画を指摘することができます。その中では、「国際的な制裁の解除に関する政府とイランの合意を、我々はアメリカ大統領と協議団による個人的な合意と見なしており、次期大統領には、その継承は義務付けられないものと考える」とされています。

“アメリカ大統領が交代すれば、核合意は継承されない”とする立場は、明らかに、アメリカの選挙へのシオニストロビーの影響によるもので、世論をひきつけるための宣伝です。

安保理決議2231は1年前に採択され、その中で、イラン核問題に関する包括的共同行動計画が認められました。これは強制力のある取り決めです。パン事務総長の報告でも、「すべての関係国は、核合意における取り決めを履行すべきだ」とされています。

イランは、パン事務総長が、アメリカをはじめとする6カ国の一部の核合意実行における怠慢を、もう少しはっきりと指摘することを期待しています。これについて、ロシアのリャブコフ外務次官は、20日、ロシアは、欧米の核合意不履行に対するイランの抗議を真剣に受け止めるとしました。リャブコフ次官は、「ロシア政府は、欧米の核合意の不完全な履行に対するイランの批判について検討する」と語りました。

核合意は、合意の双方による全ての取り決めの履行が確信されたときに維持されます。イランは、相手側が違反すれば、それに応じた行動を取るとしています。イラン国会の承認事項により、核合意に後戻りの道はありません。相手側が取り決めを履行しなければ、イランは核合意を破棄することができます。

パン事務総長は、核合意の作成に拘わってはいませんが、この合意から1年が経った今、この合意の完全な実施の必要性を強調しています。なぜなら、この実施における遅れは、合意のいずれの国にも、また国際社会にとっても利益にはならないからなのです。