イランの観光の魅力
西部ハメダーンのブーアリー・スィーナーの廟
イラン西部・ハメダーン市の中心部には、イランが誇る偉大な医学者・哲学者ブーアリー・スィーナーの廟があります。
この廟は、イランにおけるイスラム史上最古の建造物である、イラン北東部ゴレスターン州にあるゴンバデ・カーヴースの塔に倣って建設されました。この廟とゴンバデ・カーヴースの塔の唯一の相違点は、ゴンバデ・カーヴースには10辺形なのに対し、ブー・アリースィーナーの廟は12辺を【持っている】ということです。
この廟に12本の柱が存在していることは、この偉大な学者が12の分野に精通していたことを物語っています。
塔の形状をしたこの廟の柱は、いずれも高さ23メートル近くに及び、さらにこの塔の上部にある円錐形の屋根の高さはおよそ6メートルあります。
この廟の敷地は正方形で、壁の上部には、ブーアリー・スィーナー作の、200の対句による哲学的な詩が記されており、これらは彼が人間の精神の様々な段階や、物質的な世界との関係について、完全な知識を有していたことを示しています。また、これらの詩はそれぞれ、1.1メートルX50センチの大きさを持つ、40の大理石の石版に、スルス体と呼ばれる書体で刻まれています。
ブーアリースィーナーの廟には、北側と南側の2つのスペースがあります。現在、南側の広間は博物館となっており、ここにはコインや陶器、銅製品など、イスラム時代や紀元前数千年の時代のものとされる出土品が展示されています。また、北側のスペースは図書館となっていて、8000冊に上る、イランや外国の印刷による書物、あるいは手書きの写本が収蔵されているほか、ブーアリー・スィーナーのほか、ハマダーンにゆかりのある詩人や作家の作品がおさめられています。
この廟が建築されたのは、それほど古い時代ではありませんが、いずれにおいてもイランのそのほかの歴史的建造物にひけをとらないばかりか、建築技術的なポイントをおさえているという点からも、イランのそのほかの建造物の多くより優れているといえます。
この廟をさらに完全なものにしているのは、緑あふれる半円状の公園です。広場の東の一角には、書物を手にしたブーアリー・スィーナーの像がたたずんでいます。この像は高さが3メートル、幅が90センチ、重量は4.5トンに及びます。