一日一冊、本の紹介(36)
(last modified Sat, 07 Jan 2017 07:56:07 GMT )
1月 07, 2017 16:56 Asia/Tokyo
  • 一日一冊、本の紹介(36)

メフルアーサー・ゲイビー著の「イランの民族の服装における8000年の歴史」はイスラム以前と以後における、一連の服装の歴史と変化について語っている本です。

この本の作者は、歴史の始まりからガージャール朝時代までの、イランの様々な時代における政治的、社会的状況について検討するとともに、それぞれの時代の服装とそれに関する話を取り上げており、白黒、あるいはカラーの絵が挿入されています。

序文にはこう記されています。「人間は創造された当初は、服を着る必要はなかった。それは体毛で覆われていたからだが、進化とともに体毛が薄くなり、自然環境の影響を受けるようになって、暑さや寒さ、そのほかの自然の要素から身を守るために、着るものが必要になった。人間は当初、動物に倣って、毛皮を身にまとうことを選んだ。この時期、人間は初期の文明期にあり、着るものは、道具と同じように、装飾的な側面を帯びるようになった。着るものは自然環境や気候条件からの必要性、文明・文化的レベル、社会、経済、宗教信仰の要素に応じて、時代を経るごとに変化し、センスを表現する手段となったり、階層の違いの象徴となったりした」

この本は13章立てで、8000年に及ぶ政治、社会、文化の変化を詳細に記すとともに、衣類や装飾品のそれぞれをも詳しく述べています。700点以上の白黒やカラーの挿絵により、この本はイランの歴史におけるそれぞれの時代の衣装についての完璧な著作となっています。

著者のメフルアーサー・ゲイビーは、なぜこの本を執筆したかについて語っています。「私たちは自分で服を選んでおり、年齢や個性にあった服を選ばなければならない。人間の文化においては、文化や生活している土地をかなりの部分で明確にするのは、言語についで、着るものだ。つまり我々は国民としてのアイデンティティを維持し、着るものに注意を向け、このことをイランの服飾の歴史を勉強することで理解しなければならない」

「イランの民族の服装における8000年の歴史」は704ページの著作で、英語版も出版されています。