1日1冊、本の紹介(43)
故ラフサンジャーニー師が、初めて自らの著作において扱ったテーマはパレスチナ問題でした。
ラフサンジャーニー師は1964年、元イラン駐在ヨルダン大使を務めたアクラム・ザイテルの著作『パレスチナ問題』をペルシャ語に翻訳し、これを『パレスチナの変遷』というタイトルでイランにて出版しました。
ラフサンジャーニー師は、この書の出版により政界や宗教界の一部に喧騒を引き起こしました。彼は、この書の序文で次のように述べています。「本書の序文は自らが執筆したが、これは大変迅速に行われた。それは当時、植民地問題は闘争家にとって最も重要な問題の1つとされていたからである。初版は急速に完売した。もっとも、別の著作を出版していたため、私はイラン全国に代表を有していた。そのためのわずかな予算を工面したが、幸いにも当時販売部数が増大し、我々はその出版費用にあてることができた」
この研究において、ヨルダン人の作者は現在の中東アラブ地域の危機、特にアラブ民族とシオニスト政権イスラエルの軋轢の元凶を究明、説明しています。この意味において、19世紀末から20世紀初頭にかけてのこの地域の政治情勢が検討され、その中でシオニズム運動の出現やユダヤ人の祖国イスラエルへの帰還計画、さらにはアラブ・ナショナリズムの開始について説明されています。
さらに、この書で扱われているテーマには、パレスチナの地理、パレスチナの経歴、アラブ民族の運動とパレスチナ、シオニズム、第1次世界大戦後のパレスチナ、1929年の革命とパレスチナのユダヤ化計画の実施などがあります。
また、この著作では、イギリスとパレスチナの交渉、1936年の革命、パレスチナとアラブ諸国の政府の団結、4回の停戦、難民、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムの変遷、ガザ地区、アラブ人にとってのシオニズムの危険性、解放の道といったテーマが、それぞれ個別の章に分けられて取り上げられています。