週刊イラン
今回も、皆様とともにこの1週間のイランの出来事を振り返ってまいりましょう。
今週の主な話題
世界各国からも注目を集めていた、第12期イラン大統領選挙が19日金曜に実施されました。
アメリカが、ミサイル計画を口実に対イラン追加制裁を行使しました。
そして最後に、文化・スポーツ関連のニュースを幾つかお伝えしてまいります。
第12期イラン大統領選挙と第5期市町村議会選挙が、成功裏に開催
19日金曜、第12期イラン大統領選挙が第5期市町村議会選挙と同時に、イラン全国で開催されました。今回の選挙では、投票への参加者の数が非常に多かったため、投票受付の締め切り時間が数回にわたって延長され、19日の深夜24時まで投票を受け付けました。
今回の選挙の開票作業と最終的な集計の結果によれば、現職のローハーニー大統領が2300万票以上を獲得し、得票率57%でイラン大統領に再選されました。イラン憲法により、イランの大統領は4年に1回、国民の直接投票により選出されることが定められています。
さらに、今回は5600万人の有権者全体のうち、4100万人以上が投票に参加し、これにより今回の投票率は70%を上回っています。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、メッセージを発表し、今回の大統領選挙と市町村議会選挙が英雄伝というにふさわしく盛大に行われたことに感謝の意を表明し、この選挙の勝者は国民とイスラム共和制である、と語りました。
ハーメネイー師は20日土曜、この感謝のメッセージの中でイラン国民に対し、「19日の選挙と言う英雄伝の祝祭は、敵の目の前で再び、イラン国民の強い意志と決断を見せ付けた」と述べました。また、「国民が意欲的に、そして大々的に選挙に参加し、イラン各地の投票所の前に長蛇の列を作ったことは、イスラムに基づく民主体制の基盤の強さと、創造主なる神の偉大な恩恵に対する全ての人々の愛着を明確に示すものだ。そして、選挙の勝者は国民、そして敵の陰謀や工作をものともせず、この偉大なる国民の信頼をさらに取り付け、毎回の選挙のたびごとに新たな栄光を示しているイスラム共和制である」と述べています。
ハーメネイー師は先週水曜、選挙を目前に控えて数千人のイラン国民の前に姿を見せ、「イランで19日に実施される選挙は、欧米諸国をはじめ、地域でアメリカに追随する国、さらにはシオニスト政権イスラエルの責任者や、様々な機関に注目されるであろうとともに、彼らはイラン国民がどのように、そしてどのような精神を持って、またどれほどの規模で選挙の現場に足を踏み入れるかを目の当たりにするだろう」と語りました。
ハーメネイー師がこの一大イベントに関して述べた内容は、その通りに実現し、イラン国民は再び自らの友人と敵の双方を驚愕させました。この選挙が再び盛大に開催されたことで、全世界の人々の視線がイランに注がれました。ハーメネイー師の言葉を借りれば、自国の政府がアメリカの支配や庇護に甘んじている地域諸国の国民にとって、健全な競争を伴う自由選挙の開催は、もはや夢物語となっています。まさに、政治の舞台に参加し、投票所に足を運ぶというイラン国民のメッセージは、イスラム共和制に対するイラン国民の信頼を物語っています。
1979年にイスラム共和制が成立して以来、イランではこれまでの38年間で平均して年に1回選挙が開催されています。この民主的なプロセスの継続により、毎回選挙への国民の参加という盛大な英雄伝が実現しています。しかし、その一方でイランの敵は常に、イラン国民の選挙への参加意欲をそぐという常套手段に訴えてきました。これについて、政治問題の専門家であるヤズダーンパナー氏は、次のように語っています。
「外国のメディアや超大国の機関は、イランのイスラム共和制を失敗した体制として吹聴し、この体制が国民の要求や彼らへの約束を履行する能力がないことを、イラン国民に認めさせようとしている。そして、イランの現体制が人々の手足を縛り、制限を設けるシステムであると吹き込み、こうした特殊な手段に訴えることで、選挙に影響を及ぼそうとしている。このことは全て、1つの相対的な成功を収め、民主主義と様々な価値観の狭間で極めて価値のある方策を打ち出すことに成功した、イランにおける民主主義の根幹となる仕組みに端を発している。どうやら、このことが敵の憤慨をさそい、彼らが選挙に影響を及ぼそうと企むようになっていると思われる」
イラン国民が、今回の選挙を成功させた一方で、別のニュースも報じられています。それは、イラン国民が依然として自らの敵の挑発や敵対行為の的になっている、というものでした。
アメリカ国務省は先週水曜、声明を発表し、「アメリカは、イランとの核合意に対する自国の取り決めの実施を継続するための必須事項である、制裁の一部を取り消す法案を延長するが、同時にアメリカ財務省は、イランの防衛部門の2名の人物、そしてイラン企業1社、さらにイランの弾道ミサイル計画を支援している中国人1名、と3つの中国企業に制裁を行使した」と表明しました。
アメリカによるこの行動は、制裁というカードを使ってのアメリカのゲームがまだ終了していないことを示しています。アメリカ国務省はまた、イランと核合意に対する自らの政策をはっきりさせるために、包括的な査定を行っていることを明らかにしました。アメリカの目的は、地域・国際レベルでイランに圧力を行使することですが、このような政策はもはやその機能性を失っています。イラン国民が一丸となって投票所に赴いたことは、イランのイスラム共和制の底力や、現体制に対するイラン国民の信頼を示しています。この結びつきが強固なものである限り、アメリカはイランに対して一切、手出しができないと考えられます。
イラン国民は、アメリカとこれに同盟する地域の一部の国の陰謀を、常に察知してきました。このため、イランは外部からの脅迫のレベルに応じて、防衛面での自らの対応能力や抑止力を増強してきました。特に最近、アメリカのトランプ大統領は就任後初の地域訪問において、新たな下地作りを目論み、アラブ諸国による対イラン地域連合の結成という新たな計画を実行に移そうとしています。先週は、こうしたニュースも報道各社により盛んに報じられました。
イラン外務省は、国家防衛力の向上というイランの法的、かつ明白な権利を改めて強調し、イランの領土保全や主権、政治的な独立を維持するため、イランの国際的な義務や安保理決議2231に決して違反しない自らのミサイル計画を、かねてからの計画通りしっかりと継続する、と表明しました。
文化・スポーツ関連のニュース
イランは古くから、文化や文学の檜舞台となってきました。ここからは、イラン文学に関する出来事を振り返っていくことにいたしましょう。
今月15日は、イランの暦では同国の著名な英雄叙事詩人フェルドウスィーの記念日であるとともに、ペルシャ語を記念する日とされています。これにちなみ、大詩人フェルドウスィーを記念する式典が開催されました。
特にフェルドウスィーの英雄叙事詩「王書」を初めとする偉大な文学作品や、甘美さを誇るペルシャ語の詩文は、ペルシャ文学の愛好家をはじめとする世界の諸国民の間で、特別に位置づけられ、価値あるものとされています。フェルドウスィーは、後世にまで残る名作を生み出しており、人類に対し科学や哲学、文化、幸福な人生について教示しています。
イランは今週、さらにイランのもう1人の詩人で数学者、天文学者でもあるオマル・ハイヤームの記念日を迎えました。オマル・ハイヤームは、正式名をハキーム・アボルファトフ・オマル・ブン・イブラーヒームミーといい、西暦1048年ごろイラン北東部の町ネイシャーブールに生まれました。彼は、数学の分野で三次方程式の解法を考案したほか、ペルシャ語とタジク語による詩作や書物を残しています。
オマル・ハイヤームは、文学者としてよりもむしろ、科学者として高く位置づけられていましたが、ルバイヤートと呼ばれる四行詩集を残したことから、彼は文学者として世界的により大きな名声を博しています。さらに、ハイヤームのこの名作は世界の多くの言語に翻訳されています。特に、エドワード・フィッツジェラルドがルバイヤートを英語に翻訳したことから、ハイヤームは西洋諸国でより大きな名声を博すことになりました。
さらに、イランは今週、スポーツの分野でも大きな成功を収めました。今回は最後に、スポーツ関連のニュースをお伝えすることにいたしましょう。
今月13日土曜には、アゼルバイジャンの首都バクーで、54のイスラム諸国の参加により、第4回イスラム連帯競技会が開幕し、22日月曜まで行われました。イランは、この大会に男子127名、女子31名を送り込み、20の種目に参加し、重量挙げやレスリングのグレコローマンスタイル、陸上競技の様々な種目で金メダルを獲得しました。今大会でイランがこれまでに獲得したメダルは、金メダル19個、銀メダル22個、銅メダル29個となっています。