週刊イラン
この1週間にイランで起こった主な出来事です。 イランのローハーニー大統領の信任状認証式と就任式が開催されました。 イラン人巡礼者のハッジ・メッカ巡礼が始まりました。 イランが、アメリカによる核合意違反に抗議しました。 パレスチナの将来に関してイランが立場を表明しました。 そして最後に、最新のシリア情勢について見ていきます。
イスラム暦ゼルカアダ月11日にあたった4日金曜は、シーア派8代目イマーム、レザーの生誕日でした。この日、イラン各地、特に北東部のマシュハドでは祝祭が行われました。イマームレザーの聖廟は、マシュハドにあります。

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イランのローハーニー大統領の信任状認証式が、3日木曜朝、テヘランで行われました。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、国民の票を認証し、ローハーニー師を次期大統領に任命しました。ローハーニー大統領は、5月19日に実施された選挙で、2300万以上の票を獲得して再選されました。
イランの憲法によれば、国民の選挙後に大統領の信任状に署名をするのは、最高指導者の権限と義務の一つだとされています。ハーメネイー師は、この信任状で、高い得票率による大統領の選出は、イスラム共和制の強化を示しているとし、大統領に対して、公正の確立、弱者への支援、純粋なイスラムの戒律の実施、国民の誇りと統一の強化、国の大きな可能性への注目、イスラム革命の基盤と価値観の尊重に向けて努力するよう勧告しました。

ハーメネイー師はまた、「イランは、イランを国際体制に積極的に参加させまいとする悪意を持つ者たちの要求に屈することはない。人類の経験の成果や変化から遠ざかることも受け入れない」と強調しました。
ローハーニー大統領もこの認証式の演説で、今期政府は、抵抗経済と体制の全体政策に基づいて経済計画を打ち立てていると強調し、次のように語りました。
「イラン政府は国に経済革命を起こそうとしている。現在、世界の国々は共に複雑に関係しながら存在しており、このような状況の中で、国家の発展は、世界との建設的な協力なくして成し遂げられない。
ハーメネイー師は認証式で行った演説の中で、体制責任者に対して、経済、文化、防衛の各分野で、計画的かつ献身的で強力な活動を行い、悪意を持った者たちの陰謀に対抗するためにイスラムと革命のアイデンティティを維持すべきだと勧告しました。また、アメリカの敵対行為について次のように語りました。
「アメリカの現在の政治家たちのように、一部の人々ははっきりとイラン国民に敵対しており、一部の人々の陰謀も、ビロードの手袋の下に隠されてきた。しかし、これらの陰謀のすべては、イランの国民と体制責任者が自負心を高め、敵の陰謀に対抗する道を見出すきっかけとなった」
ハーメネイー師は、アメリカの政権は、侵略的で、すべての覇権主義者以上に恥知らずだとし、「40年に及ぶ国際的な活動は、理不尽な大国に屈することによる負担が、彼らに抵抗することによる負担をはるかに上回ることを示した」と強調しました。
ハーメネイー師によるローハーニー大統領の信任状の認証式の後、5日土曜には、イラン国会で、大統領の就任式が行われました。ローハーニー大統領は、アーモリーラーリージャーニー司法府長官、国会や護憲評議会の議員、国内外の来賓が見守る中、聖典コーランを前に、イスラム、イスラム体制、憲法を守ることを誓いました。
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「慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において
イランの大統領として、国教であるイスラム教、イスラム体制、憲法を守り、責務の履行に全力を尽くし、国民への奉仕、国家の向上、宗教や道徳の普及、公正の拡大に向けた努力を続け、利己主義からは遠ざかり、憲法が国民に定めている権利や自由を支持すると共に、政治的、経済的、文化的な独立を守ることを、イラン国民と聖典コーランを前に、至高なる神に誓う」

ローハーニー大統領の就任式には、国内の関係者だけでなく、8カ国の大統領、19カ国の国会議長、9カ国の副大統領や首相、7人の国会副議長、11人の外相、35人の特使、EU関係者など、100人近い外国の関係者も出席しました。

先週、初のイラン人巡礼団が、宗教義務であるハッジ・メッカ巡礼の儀式を行うため、サウジアラビアのメッカに向かいました。今年は、8万6500人のイラン人巡礼者がメッカを訪問する予定です。

最高指導者のハーメネイー師は、6日日曜朝、イランの今年のハッジの執行関係者と会談し、ハッジは、パレスチナ、アクサーモスク、アメリカの地域への干渉に関する立場を表明するための機会であるとしました。

ハーメネイー師は、イスラム諸国や地域諸国におけるアメリカの存在と干渉、テロ組織の創設も重要な問題だとし、イスラム教徒はメッカ巡礼の中で、これらの問題について立場を表明すべきだとしました。ハーメネイー師は次のように語っています。
「すべてのテログループ以上に卑しい悪は、アメリカの政権である」
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アメリカは、国際的な一致により、口実を設け、イランに対する新たな制裁を行使しようとしています。アメリカは、イランに対してだけでなく、ロシアに対しても、この経済戦争に入っており、国際的な利益に反して行動しています。
イランとロシアに対するアメリカ政府の敵対的なアプローチが続く中、アメリカの議会も、イラン、ロシア、北朝鮮に対する包括的な制裁案を可決しました。この法案はトランプ大統領に署名され、法制化されました。
アメリカ政府は、なおも敵対的な行動の中で、イランの衛星ロケット・スィーモルグの発射実験を受け、イランの6団体を制裁の対象としました。アメリカは、このような行動により、パリ協定や国際的な自由貿易協定などの国際的な合意を問題に直面させています。

イランのザリーフ外相は、先週水曜、今期政府の最後の閣僚会議の傍らで、記者団に対し、核合意への違反を受けたイランの対抗措置について語りました。
「イランの最初の措置は、核合意違反への対抗措置としての国会の法案の可決であり、新たな政治的、法的措置も計画されている。それは適切な時期に実行されるだろう」
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イランの地域外交、特にシリア情勢を巡る外交は、今も活発に継続されています。イラン外務省のジャーベリーアンサーリー・アラブアフリカ担当次官は、地域情勢、特にシリア問題やイランとトルコの協力強化について話し合うため、先週、トルコを訪問しました。この訪問で、双方は、シリア危機の政治的な解決の必要性を確認すると共に、シリアの分裂を避け、シリアの人々自身が将来を決定する権利をすべてのグループが尊重することを強調しました。

イラン、ロシア、イラクの外務次官による3者協議でも、イラクとシリアの危機をはじめとする中東情勢やこの問題における3カ国の協力について、話し合いが行われました。
ジャーベリーアンサーリー外務次官は、トルコを訪問する前、シリア危機の政治的な解決に向けたイランの努力を続ける中で、モスクワで、シリアの反体制派の幹部の一人と会談しました。
イランのイニシアチブとロシア、トルコの協力によるアスタナ協議は、シリアの和平確立を目的に、カザフスタンの首都アスタナで開催されています。この協議はこれまで、包括的な停戦の実現、シリアにおける4つの緩衝地帯の設置につながっています。
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シオニスト政権イスラエルによるアクサーモスクへの攻撃は、聖地のアイデンティティを喪失させるための最新の動きです。先週、OICイスラム協力機構は、トルコのイスタンブールで緊急会議を開き、この問題について話し合いました。ザリーフ外相は、先週火曜、OIC緊急外相会合で、次のように強調しました。

「イスラム共同体は、イスラム共同体の統一の拡大、シオニスト政権の占領と拡張主義への対抗、聖地を首都としたパレスチナ独立国家の樹立というOICの本来の理想の道を外させるのを誰にも許してはならない」
OICの緊急外相会合と同時に、イランのアミールアブドッラーヒヤーン国会議長特別顧問は、レバノンのベイルートで、パレスチナイスラム聖戦運動の事務局長の他、レバノンの国会議長をはじめとする同国の政府高官と会談しました。アミールアブドッラーヒヤーン顧問は、記者会見で、レバノン・アルサル地方がテロ組織による占領から解放されたことに触れ、この勝利の秘訣は、国民、抵抗勢力、軍のバランスにあるとしました。
シリアのムアッリム外務大臣も、アミールアブドッラーヒヤーン顧問と、シリア・ダマスカスで会談し、「イランとロシアの支援がなければ、テロリストに対する戦いで、これらの成果を得ることは不可能だっただろう」と語りました。