週刊イラン(音声)
(last modified Tue, 01 May 2018 11:22:24 GMT )
May 01, 2018 20:22 Asia/Tokyo

この1週間に起こった主な出来事です。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、コーラン国際コンテストの出場者と会談しました。
イラン全軍の指揮官であるハーメネイー師が、イラン軍の防衛の用意を強調しました。
テヘランで、インド洋海軍シンポジウムが開催されました。
そして、イランの核合意を巡るさまざまな動きについて見ていきます。

 

 

「イランは40年前から、覇権主義者の理不尽な要求に抵抗し、イランのイスラム体制を消し去ろうとする敵の意志に反し、発展を遂げ、力を増してきた」

 

ハーメネイー師は、先週木曜、コーラン国際コンテストの出場者と会談し、イスラム共同体の幸福と発展の唯一の道は、コーランを実践することだとしました。ハーメネイー師は次のように語りました。

 

「イスラム諸国は、コーランを支えにしなかったために屈辱という病に陥っている。アメリカの大統領から、“我々がいなければ、一部のアラブ諸国は1週間と持たないだろう”などと言われているのも、このような病の結果である」

 

 

ハーメネイー師は次のように語りました。

 

「コーランは我々に、敬虔な人間は互いに結びついて団結し、不信心者とは関係を持ってはならないと教えている。だが残念ながら、一部のイスラム諸国は、シオニスト政権イスラエルと関係を持っている。このようにコーランを実践しないことの結果が、地域における現在の犯罪や戦争である」

 

イスラム共同体の幸福や栄誉は、間違いなく、統一と共感によって得られます。そのため、イスラムの敵の最大の目的は、イスラム社会を支配するために対立を生み出すことです。このような状況の中で、対立を脇に追いやることが不可欠です。

 

イスラムの統一を促す要素のひとつは、宗教的な共通性や、コーランが強調する内部の統一を支えにすることです。神はイスラム教徒に対して統一を呼びかけ、対立を否定しています。このような純粋な考え方は、イスラムでは、イスラム教徒の統一こそが、栄誉と幸福に達するための秘訣だと見なされていることを示しています。

 

イスラム教徒の間に対立や憎しみを生み出すことで、イスラムの敵はチャンスを手にします。そのため、イスラム共同体がコーランの統一を生み出す教えに注目することは、すべてのイスラム諸国にとって、回避することのできない非常に重要な義務なのです。

 

イラン全軍の総指揮官を務めるハーメネイー師は、先週日曜、イラン陸軍の総司令官や司令官らと会談し、さまざまな脅威に対する治安部隊の備えの重要性を強調しました。ハーメネイー師は次のように語りました。

 

「明日の軍隊が今日の軍隊よりも優れ、革命的、かつ、機能的で、強力になるよう、発展を続けるべきだ」

 

ハーメネイー師は、かつての軍関係者の貴重な経験と機能性を賞賛し、軍の若者たちの輝かしい未来に期待感を示すと共に、軍の力の拡大と発展の継続を強調しました。

 

イランは、1980年代のイランイラク戦争の経験を活かし、防衛力の拡大に取り組んできました。そして、防衛力に必須の事柄を考慮しながら計画を立てました。イランのハータミー国防軍需大臣は、これについて次のように語っています。

 

「イランに対する敵対の深さに注目し、イランでは長期的な戦略が形成された。それにより、イランは防衛力を獲得した」

 

革命防衛隊から国軍にいたるまで、イランの治安部隊は、さまざまな脅威に対抗する上での抑止力を有しています。このような備えは、防衛分野の革命的な精神を持つ若者たちと共に、熟練のエリート部隊の独創的な努力によって生まれたものです。

 

イスラム体制が生まれてからの40年、イランの革命防衛隊と国軍の間には強力な結びつきが存在してきました。その結果、さまざまな脅威に対抗する上での、イランの攻撃力、防衛力は共に、最高のレベルで向上しています。

 

イランの防衛に関して重要な問題のひとつは、ミサイル防衛力の保有です。これは、抑止力という点で、戦略的な重要性を有しています。イランは、他国を侵略するつもりはありません。しかし、敵や侵略者に対しては、地域の集団の安全や安定を崩そうとする勢力には、最高のレベルで対処する、というメッセージを常に与えています。

 

先週、テヘランで、インド洋海軍シンポジウムが開催されました。

 

インド洋海軍シンポジウムは、これまで各国で5回、開催されており、イランの歴史上、最大規模の軍事会合で、イラン海軍が2年間、この会議を主催しました。

 

インド洋海軍シンポジウムには、加盟23カ国とオブザーバー9カ国が参加しました。イラン海軍も加盟国の一員です。

 

イラン統合参謀本部のバーゲリー議長

 

イラン統合参謀本部のバーゲリー議長は、このシンポジウムの開幕式で、世界の2極体制は崩壊し、東と西で新たな国が台頭しているとし、「アメリカと一部の大国は、各地に部隊を派遣し、武力を行使することで、無秩序を広げている」と語りました。また、アメリカは、テロ組織ISISを支援し、西アジアの大部分を危機に陥れ、人々が殺害されたり、難民化したりするのを促しているとし、「アメリカとその同盟国による、最近のシリアへの空爆は、違法な行動の明らかな例だ」と述べました。

 

今週も、地域や国際レベルで、核合意のゆくえが注目されました。

 

イランのローハーニー大統領は、先週水曜、イラン北西部・東アーザルバイジャーン州のタブリーズで記者会見し、核合意を巡るヨーロッパとアメリカの協議は、イランには関係がないとし、西側諸国に対し、イランの利益が確保されなければ、合意は存在しなくなると警告しました。

 

ローハーニー大統領は、イランは核合意が破棄された場合の包括的かつ新しい計画を用意しているとし、「アメリカ大統領は、核合意が破棄されれば、イランは急速に平和的な核活動を続けることを知るべきだ」と語りました。ローハーニー大統領は、核合意における変更は容認されないと強調し、「核合意の変更を求める国々は、この合意を今の状態で受け入れるか、そのすべてに別れを告げるかのどちらかであることを知るべきだ」と述べました。

 

イランのザリーフ外務大臣も、先週、平和構築に関するハイレベル会合に出席するため、ニューヨークを訪問した際、分析ポータルのアルモニターのインタビューで、ドイツとフランスが、アメリカを核合意に残留させるためにイランへの圧力を拡大しようとしていることについて、次のように語りました。

「この政策は誤りである。これらの国は、自国とヨーロッパの利益を考えているのであれば、トランプ大統領を説得し、核合意にとどまらせるとともに、アメリカの取り決めを誠実かつ正しく履行させるようにすべきだ」

 

トランプ大統領は、イランと6か国の核合意に、彼の望み通りの変更が加えられなければ、次の期日である5月12日には、対イラン制裁の停止を延長しないと警告しています。ブルッキングス研究所は、次のように強調しています。

 

「アメリカ政府は、核合意破棄の代償を支払うのは、イランだけではないことを考慮すべきだ。核合意の崩壊は、イランの核活動に関する肯定的な展望を失わせ、2つの大洋の間の亀裂を拡大することになる」

 

イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記は、先週、世界5大陸の安全保障関係者による会合に出席するため、ロシアのソチを訪問しました。シャムハーニー書記は、ロシアのパトルシェフ国家安全保障会議書記、および、パキスタンの安全保障担当首相顧問と共同記者会見を行い、地域におけるアメリカの情勢不安を作り出す行動に懸念を示し、この流れに対抗するため、アジアの有力な国が全面的に協力を行う必要性を強調しました。

 

イランは常に、地域の危機に関する政治的な解決法を探ってきました。この協力は、過激派を消滅させる上での助けとなっています。こうした中、シリアとイラクでのテロ組織ISISの敗北にもかかわらず、テロによる問題は今なお、亡くなっていません。テロリストは現在、イランとロシアの国境に近い、アフガニスタン北部に移動しています。

 

イランの地域諸国へのメッセージは、地域の人々は共通の利益を有しているため、互いに助け合って、安全と恒久平和を確立すべきだというものです。これまでの経験が示しているように、地域の安全と包括的な平和の確立のために、集団の努力が存在しなければ、情勢不安や衝突がなくなることはないでしょう。ザリーフ外相は、ツイッターで次のように語りました。

 

「地域の平和と安定の確立に関するイランのメッセージは明らかである。共に勝利するか、共に敗北するかだ」

 

ザリーフ外相

 

ザリーフ外相は、安全保障は地域の協力に依拠しているとし、「イランは、核合意の実施後、地域対話の組織の設置を提案した。なぜならこれは、現在、地域の憂うべき状況を脱するための、唯一の方法だからだ」と語りました。

 

ザリーフ外相は、先週土曜、イラン、ロシア、トルコの外相会議に出席するため、モスクワを訪問しました。アスタナ協議は、地域に平和を確立するための、イランの努力と地域協力の一環です。この地域協力は、昨年1月から、イランとロシアのイニシアチブ、そしてトルコの協力により、シリアの和平確立を目指して始まりました。イラン、ロシア、トルコの努力により、アスタナの和平協議の流れが形作られ、この協議によって、シリア危機の解決に向け、重要な進展が見られました。

 

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