視点、第11期イラン国会議員選挙ーイラン憲法における国会の位置づけ
(last modified 2020-02-16T11:54:10+00:00 )
2月 16, 2020 20:54 Asia/Tokyo
  • イラン国会
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イランでは、国政は一般市民による票に依拠すべきものとされています。

イランイスラム共和国憲法第62条では、国会は、直接、国民の秘密投票により選ばれた人々で構成されることとなっています。

また、イラン憲法第63条では、国会の会期は4年間であり、1つの会期が終わる前に必ず選挙が開催されることになっています。

国会は、一般的な問題においてイラン憲法に定められた範囲内において法律を制定できるとされ、国の正式な宗教的戒律や原則、あるいは憲法に反する法律を定めることはできません。この点の判定・識別に関しては、イラン憲法第96条に明記されており、またこの判定・識別を担うのは護憲評議会だとされています。このため、国会は護憲評議会なしには法的な有効性や権威を持たないことになります。もっとも、護憲評議会のメンバーである6人の法律専門家の選出や、議員の信用状の可決に関してはこの限りではありません。

イラン憲法第91条によれば、イスラムの戒律や憲法を守るため、また国会の可決内容がそれらに違反していないかどうかという点から、12人のメンバーで構成される護憲評議会という組織が結成されます。この組織のメンバーのうちの6人は、現代の最新の諸問題や時代に即したニーズに精通している公正なイスラム法学者であり、イスラム革命最高指導者により選出されます。そして、残りの6人は様々な法律分野の有識者や法律家が占めています。これらの人々は、司法府長官により国会に指名されたイスラム教徒の法律家の中から、国会で選出されます。選出された護憲評議会のメンバーは、6年間の任期を務めることになっています

イラン憲法第94条では、国会の承認・可決内容のすべてが護憲評議会に提出される事が強調されています。

国会の可決内容がイスラムの戒律に違反していないか否かの判定は、護憲評議会の6人のイスラム法学者の多数票により、またさらにその判定が憲法に矛盾していないか否かの判別は同評議会のメンバーの多数票にかかっています。

国会はさらに、国家のすべての業務・政務の調査という権限を有しています。

国際的な条約や取り決め、協定などはすべて、国会の承認を得る必要があります。

国会議員1人1人は、すべての国民の代表であり、国内外のすべての問題に関して見解を表明する権利があります。このため、国民の代表者としての責務を履行する立場にある国会議員は、自らの意見表明や投票に関して完全に自由であり、国会での意見表明や投票内容を理由に逮捕、訴追されることはありえません。

国会のまた別の権限として、大統領から指名される閣僚の資格適正の調査および、適格と認める場合の信任票の投票があります。この点に関しては、大統領が組閣後およびあらゆる措置の実施前に、国会から内閣に対する信任を取り付ける必要があります。任期中にも、重要事項や見解の対立が見られる事項に関しては、国会に対し内閣への信任票投票を求めることができます。

憲法第88条では、少なくとも議員全体の4分の1が大統領に対し、あるいは各議員が閣僚1人に対しその責務や行動に関して質疑を提示した場合、質疑を受けた大統領やその閣僚は国会に出席して答弁する必要がある、と定められています。

さらに、憲法第89条では、国会議員は必要があると思われる事例において、内閣全体あるいは一部の閣僚を弾劾できるとされています。国会で弾劾案が提出されるために、少なくとも10人の議員の署名が必要となっています。弾劾案を出された当該閣僚あるいは内閣は、弾劾案が出されてから10日以内に国会に出席し、これに答弁して国会から信任票を得る必要があります。当該閣僚が答弁のために国会に出席しない場合は、議員らは対象とする閣僚や内閣の弾劾に関して必要な釈明を行い、国会が必要と判断した場合には不信任決議を発表することになります。国会が信任票を投じなかった場合には、内閣総辞職あるいは、当該の閣僚の解任ということになります。

国会議員全体の少なくとも3分の1が、国家行政の管理実施という役職にある大統領を弾劾すべきだとした場合には、大統領は弾劾案が出されてから1ヶ月以内に国会に出席して、自らに対し提示されている問題について十分な答弁を行わなければなりません。大統領の答弁、そしてこれに対する賛成派と反対派それぞれの見解陳述がなされた後、議員総数の3分の2が大統領弾劾案に賛成票を投じた場合には、憲法第110条の施行のため、この弾劾可決案が最高指導者に通達されます。

憲法第90条ではさらに、国会が国民に応えるための一連の措置が考慮されており、「国会や行政府、司法府の行動に不服がある者は、その内容を文書にて国会に提出できる。国会は、提出されたその不服内容を審理し、それに十分な回答を与える責務がある。また、その内容が行政府や司法府に関するものである場合には、当該府に対する十分な調査や回答を求め、適切な期間中にその結果を開示して、それが一般に関するものである場合にはこれを公表する」と定められています。

 

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