視点:イラン外相が国連事務総長に宛てた2通目の書簡
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イランのザリーフ外相が今月8日、米の核合意離脱から丸2年を迎えるに当たり、米国の一方的な対イラン制裁と国連憲章に対する度重なる違反を指摘し、グテーレス国連事務総長に対し書簡を送りました。
(last modified 2025-10-27T05:05:03+00:00 )
May 09, 2020 22:56 Asia/Tokyo
  • ザリーフ外相とグテーレス国連事務総長
    ザリーフ外相とグテーレス国連事務総長

イランのザリーフ外相が今月8日、米の核合意離脱から丸2年を迎えるに当たり、米国の一方的な対イラン制裁と国連憲章に対する度重なる違反を指摘し、グテーレス国連事務総長に対し書簡を送りました。

ザリーフ外相は今年3月12日、グテーレス事務総長に対する最初の書簡において、新型コロナウイルスと戦うためには米国の対イラン制裁の解除の必要性を訴えていました。

トランプ米大統領が離脱した核合意は、多国間主義による最初で最後の成果では断じてありません。

トランプ大統領が離脱していない国際合意はほとんどありません。米国はこれまでに、気候変動対策に関するパリ協定、TPP環太平洋パートナーシップ協定、EFTA北米自由貿易協定、ユネスコ、国連人権理事会、そして核合意から離脱しており、これらは米政府による一方的な決断によるものです。米国のこうした慣行に反する行動は、アナリストらも認めるとおり、国際社会に自らの要求を無理やり呑ませようとの目的にほかなりません。

国際関係・国際問題を専門とするイランのマーニー・メフラービー上級アナリストは、トランプ大統領のこの種の行動に関して、「前世紀の40年間から現在まで、米国の外交政策は権力という原則をベースとしてきた。これに基づき米政府は、他国からの利権の獲得という枠組みで自らの関係を築いてきた」と語りました。

トランプ大統領は現在、核合意離脱から丸2年が経過する中で、この合意事項によって今年10月に期限を迎える対イラン武器制裁の延長を狙っています。

イランは、自国や地域の安全保障に関する米国の行動のすべてに反応し、米国の圧力に抵抗するのは必至です。

ローハーニー・イラン大統領は、対イラン武器制裁の延長に向けた米国の工作に反発し、「対イラン武器制裁が復活すれば、我々も米を除く核合意当事国の首脳5名に対し、最後のパラフラフに明記した対抗措置を講じる。これは、彼らに醜悪な結果をもたらすだろう。イランは決して、安保理決議2231への違反行為を許さない。我々の武器売買はいずれも平和目的であって、火に油を注ぐ行為ではない」と強調しました。

トランプ大統領は現在、米国で猛威を振るっている新型コロナ禍により、イランを敗北に追い込み、服従させる新たなシナリオを必要としています。しかし、その一方で米国が真っ当で論理的なルートに復帰するには、多国間主義への尊重以外に道は残されていません。

現在、米国の国民や社会までもが、トランプ大統領による核合意離脱を支持していなかったことが当時の世論調査からも明らかになっています。

今や多国間主義は、過去の歴史のどの時代にも増して、国際社会の必須事項としてクローズアップされるようになっています。

イランのタフテラヴァーンチー国連大使が多国間主義の必要性を強調するとともに、「米国は、安保理決議2231への違反および、他国への脅迫により国際法を嘲笑っている」と述べたのはそのためです。

同大使は8日金曜、第2次世界大戦の終結75周年にちなんで実施された、テレビ会議形式による非公式の安保理会合において、「多国間主義は多数の問題に直面している」とし、「世界は、法の支配が力による政策に、また協力が対立に取って代わるよう努力すべきだ」と呼びかけました。

 

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