米国がベネズエラを西半球への脅威とみなす理由とは?
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トランプ米現政権で国務長官を務めるマルコ・ルビオ氏が、「南米ベネズエラは西半球の安定にとっての脅威である」と主張しました。
(last modified 2025-12-20T11:15:07+00:00 )
12月 20, 2025 19:37 Asia/Tokyo
  • マルコ・ルビオ米国務長官
    マルコ・ルビオ米国務長官

トランプ米現政権で国務長官を務めるマルコ・ルビオ氏が、「南米ベネズエラは西半球の安定にとっての脅威である」と主張しました。

マルコ・ルビオ長官はベネズエラとの緊張が高まる中、同国に対する主張を繰り返しつつ、ベネズエラを西半球の安定に対する脅威だとの見解を示し、「米国外交政策の究極の目標は西半球の安全と安定である」と主張しました。そして、ベネズエラを「西半球における特別なケース」だと断言しています。

また、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領政権に対するアメリカの非難を繰り返し、「トランプ政権が国際テロリストと認定する麻薬密輸組織に、ベネズエラは積極的に関与している」と主張しました。

ルビオ長官がベネズエラに対する主張を繰り返している背景には、米国が数ヶ月前から中米カリブ海や同海に面したベネズエラ沿岸に軍艦を派遣し、ベネズエラに対して宣戦布告こそないものの事実上戦争を仕掛けている現状の他、最近ではベネズエラの石油タンカーに対する制裁を発表し、ベネズエラ産原油を積載したタンカーを停止させ拿捕していることが挙げられます。

米国は先般、新たにベネズエラに対し行動を起こした中で、過去数年間にわたり継続的にベネズエラに対し、経済、政治、軍事的措置といった様々な形で圧力を行使してきました。

米国は数十年にわたり中南米諸国、特にベネズエラに対して干渉主義的な政策を展開してきました。こうした干渉行為の主な理由の1つは、アメリカがこの地域における左派運動の台頭を懸念していることが挙げられます。

ベネズエラで1990年代後半にウゴ・チャベス氏が政権を掌握して以来、米国は同国の左派政権の打倒により、中南米におけるそのような政権の拡大阻止を繰り返し試みてきました。

アメリカが常に中南米諸国において、アメリカの政策に従う政権を成立させようとしてきたもう1つの理由としては、中南米諸国に埋蔵されたエネルギー資源、鉱物資源の豊富さ、地理的位置、そしてこれらの諸国が持つ植民地主義との闘争、被抑圧国民への支援といった政治的、イデオロギー的理念が挙げられます。

一方、米国は常に中南米地域を自国の裏庭とみなしており、中国やロシアといった国々からの一切の影響力も自国の利益に対する深刻な脅威とみなしています。またアメリカはベネズエラに関しては、世界最大の石油埋蔵量を有する同国が、米国の利益に反する中国やロシアといった国々との協力関係を深めることを懸念しています。

こうした懸念は、米国がベネズエラに対して経済的・政治的圧力と制裁を課す主な理由の一つであり、米政権は世界におけるアメリカのライバル国とベネズエラの関係強化を阻止しようとしています。実際、米国はベネズエラのエネルギー資源、そして中南米におけるこの国の戦略的地位に影響を及ぼす可能性のあるあらゆる潜在的な脅威を最小限に抑えたいと考えているのです。

こうした圧力に対し、ベネズエラのマドゥロ政権は一貫して「米国の干渉行為はベネズエラの国家主権を脅かすのみならず、我が国の危機の直接的な一因にもなっている」と強調してきました。マドゥロ大統領とベネズエラ当局者は再三にわたり「米国はベネズエラを代理戦争と情勢不安の場へと組織的に変貌させようとしている」と主張してきています。そして今、米国はベネズエラを地域および世界の安全保障にとっての脅威として提示することで、ベネズエラに干渉することの正当性を高めようとしているのです。

米国は、自らがテロ組織認定している大規模な麻薬密売組織と協力しているといった非難を、ベネズエラの圧力​​行使手段として一貫して利用してきました。米国は、ベネズエラ政府を公式にテロ組織に指定しています。したがって、こうした非難はアメリカの干渉行為、そして制裁や経済的圧力を正当化することを意図していると言えます。しかし、そのような中でこれらの非難の多くは明らかに虚偽であり、米国の干渉を正当化するために仕組まれたものに過ぎません。

このような状況下で、アメリカが「ベネズエラの脅威」として吹聴しているものは、実際の脅威というよりも、覇権主義的で誤ったアメリカの政策を反映したものであり、世界的な危機をさらに悪化させていると共に、今や地域や世界の安全と安定に対する脅威と化しているのです。

 

 


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