核科学者暗殺
視点；イラン核科学者の暗殺ーイランの科学的発展を抑制しようとするシナリオが再度失敗
２７日金曜午後、テヘラン近郊でイラン国防軍需省･研究開発機構長官だったモフセン・ファフリーザーデ氏がテロ攻撃を受け殉教しました。
イラン人学者がテロ攻撃の標的となるのは、実はこれが初めてではありません。過去数年にも今回と類似した複数のテロ事件が発生していることに注目し、以下のような２つの肝要な疑問が浮上しています。
第１の疑問は、特にイラン人核科学のエリートをはじめとする学者のテロ暗殺の目的は何か、ということです。
第２の疑問は、イラン人核科学者のテロ暗殺がどの国の政府やテロ機関により仕組まれ、またいずれの因子の協力により実行されるのか、という点です。
こうしたテロ攻撃の狙いの１つが、学術や防衛、核科学の分野におけるイランの進歩や成熟を阻止することにあることは間違いありません。これまでにイランでテロ暗殺された重要人物は皆科学者で、他国を危険に陥れるようなことはありませんでした。これらの人物をテロ暗殺する動機は、彼らの学術知識やイラン国民の進歩発展への恐れでしかありません。今回暗殺されたファフリーザーデ長官も実際、アメリカの外交専門誌フォーリンポリーシーが世界の有力者500傑のリストに挙げていた5人のイラン人のうちの1人でした。
しかし、第2の疑問点に対する回答では、これ以前にもシオニスト政権イスラエルの工作員が複数のイラン人核科学者をテロ暗殺していたことに言及する必要があります。こうした事例としては、マヌーチェフル・シャフリヤーリー氏や、マスウード・アリーモハンマディ氏のテロ暗殺が挙げられます。今回のファフリーザーデ氏のテロ暗殺もこの点からメディアの注目を集めています。レバノンのアルマヤーディン・テレビは、今回の事件を報じた後、イスラエル政府関与の可能性を指摘するシオニスト系メディアの報道として、「自分は最近、多数の業務を履行しており、これらすべてに関して語ることはできない」とした、ネタニヤフ・イスラエル首相の表明に言及しました。
イスラエル最大の新聞イェディオト・アハロノト紙の政治・軍事アナリスト、ロネン・バーグマン(Ronen Bergman)氏は昨年3月、「イスラエルの諜報機関モサドが、イラン人学者15名を特定し、そのうち6人を、朝の通勤時に乗車していた車両に爆弾を仕掛けて攻撃した」と暴露しています。
ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルもイラン人学者ダーリウーシュ・レザーイーヤーン氏の殉教後、イラン人学者らの暗殺がモサドの仕事であると報じています。
また、こうした勢力と暗殺事件の間の関係性を意味ある形で提起している、当時のもう1つの重要な論点は、ＩＡＥＡ国際原子力機関の秘密報告書に、暗殺された科学者の一部の名前が掲載されていること、そしてIAEAの秘密情報にシオニスト系組織のアクセスが及んでいたことです。
アメリカ屈指の調査報道記者セイモア・ハーシュ氏もある論説記事において、イラン人学者の暗殺はアメリカとイスラエルが共謀しての企みだったとし、「アメリカはかなり前から、反イラン・テロ組織ＭＫＯモナーフェギンのメンバーの一部に対し、テロ･破壊作戦実施のため米ネバダ州の砂漠で訓練させていた」と述べています。
テロとの戦いを主張してやまない国々が、一連の疑惑を捏造し、さまざまなシナリオのでっち上げにより、イランをテロ･情勢不安扇動因子として吹聴すべく、あらゆる機会をうかがっている中、今や果たしてこうしたテロ行為が国際機関の視点からどのように非難されるかを見守っていく必要があります。
イラン国民の敵は、自らの目的達成のためには、テロ組織ISISの破壊および、米国やイスラエル、サウジアラビアに後押しされたテロとの戦いで主要な役割を果たした故ソレイマーニー･イランイスラム革命防衛隊司令官の暗殺にはじまり、防衛学術の舞台でのイラン人科学者の身体への攻撃や暗殺に至るまでの醜悪な行為すら辞さないことを示したことになります。こうした犯罪は確実に法的に訴追され、報復の対象となることは間違いありません。ファフリーザーデ氏のような科学者やエリートを失ったことは、イラン国民にとって打撃ではあるものの、これらの犯罪の首謀者はまたしても誤算を犯しことになります。それは、イランでの学術的な発展はすでに定着しており、これらの殉教者らの目指してきた道は、確実に更なる強い意志をもって受け継がれていくからなのです。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://urmedium.com/c/japaneseradio
https://twitter.com/parstodayj
