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イランの年内最後の火曜日の夜に行われる「チャハールシャンベ・スーリー」
「チャハールシャンベスーリー」は、跳火儀式とも訳される火を飛び越える古式よかしい行事であり、イラン暦の年内最後の火曜日の日没後から深夜まで実施されます。
この儀式は、イランの春の新年ノウルーズにまつわる一連の祝祭行事の皮切りといえるもので、その歴史は数百年前に遡ります。イラン市民はこの日、災厄や邪悪な因子を吹き払い、願い事がかなうようこの儀式を行います。
ペルシャ語でのこの儀式の名称は、チャハールシャンベ(水曜日)とスーリー(赤)の2つの語彙の合成語です。この儀式は、かつては非常に美しく、人々を夢中にさせるものでした。
新年にまつわる儀式・ガーショクザニー(スプーン打ち)
この儀式の実施にあたっては、年若い男女が頭からチャードルと呼ばれる、本来はイスラム教徒女性が体全体をすっぽりと覆う被り物をかぶり、自分が誰であるか相手に気づかれないようにした上で、近隣の7件の家の扉をたたき、持参した椀をスプーンで叩きます。この訪問を受けた家の主は、この音を聞いた際、戸口にやってきた人の椀の中に乾燥ナッツ類や菓子、金銭などを入れる、というものです。この伝統習慣によりますと、訪問先の家の主人から何かを受け取る人は願い事を叶えられる、といわれています。
ショール入れの儀式
この儀式は、イラン西部ハメダーン、ザンジャーン州など一部の地域では今なお残存しているものの、現在では廃れ忘れ去られた慣習の1つとされています。この儀式では、若者たちがいくつかの絹製などのハンカチを互いに結び合わせて、カラフルな長いロープ状のものを作り、その一方の先端を近隣の家の煙突の内部に垂らし、大きく咳払いをして自分たちが来たことをその家の主人に知らせます。家の主人はこの様子を見て、かねてからこの日のために用意していた贈り物をそのロープに結び、ロープを穏やかに揺らして、ロープを引き上げるよう合図を送ります。
大変面白いことに、イランのほとんどの場所でよく見られる焚き火を飛び越える儀式は、火を通り抜け、その清潔さで無事だったスィヤーヴォシュの神話として解釈されていることです。実際、火を通り抜けることによって、病気が人から取り除かれると信じられています。
イランの英雄叙事詩「王書」の朗吟
この日にちなんだもう1つの儀式として、イランの大詩人フェルドウスィーの傑作「王書」の朗吟があげられ、これらは普通、一家や親族の年長者により行われることが多くなっています。一方、音楽の分野に携わる人々は、通常、楽器や詩を使って演奏し、新年と春の到来を説明するために書かれ、歌われます。これは、ヤルダーと呼ばれる冬至の夜の儀式などのイランのほかの慣行儀礼でも行われ、通常イランの伝統儀式の不可欠な部分を担っています。
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