西側シンクタンクの視点から見たイスラエルによる対イラン12日間戦争の教訓
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ある西側シンクタンクの観点から見ると、シオニスト政権イスラエルとイランの12日間戦争は、戦術的には成功したものの、イランの内部崩壊にはつながらず、逆にイラン国民の結束と地域的緊張の激化を引き起こしたとされています。
(last modified 2025-11-01T11:38:04+00:00 )
11月 01, 2025 20:12 Asia/Tokyo
  • イスラエルとイランの12日間戦争で国民の結束が強化
    イスラエルとイランの12日間戦争で国民の結束が強化

ある西側シンクタンクの観点から見ると、シオニスト政権イスラエルとイランの12日間戦争は、戦術的には成功したものの、イランの内部崩壊にはつながらず、逆にイラン国民の結束と地域的緊張の激化を引き起こしたとされています。

【ParsTodayイラン国際】カタール首都ドーハに拠点を置くミドルイーストカウンシルのウェブサイトは先月30日に「イラン・イスラエル間の新たな戦争の可能性が近づく中、去る6月の戦争からどのような教訓が得られるか」と題する記事で、イスラエルがイランに対して12日間にわたって課した戦争の教訓を検証しました。

イスラエルの戦略目標

この記事によると、イスラエルは2025年6月にイランと12日間にわたって行われた戦争における主要目標を「イスラエルの地域的優位性に歯向かうイランの能力の恒久的な無力化」と定義しました。この目標には、イラン政府の完全な崩壊、政治体制をイスラエルの利益に合致する構造へと転換すること、そしてイランの軍事力を不可逆的に弱体化させることが含まれていました。

第1のルート:イランの内部崩壊

イスラエルは、軍・政治指導者、核科学者、そして発電所、大学、病院、メディアといった重要インフラへの直接攻撃により、内部からのイランの弱体化を試みました。また、数十万人の国民に避難命令を発令し、給与システムへのサイバー攻撃を仕掛けることで心理的恐怖を煽り、国民を政府への反乱へと駆り立てようとしました。しかし、この目的は達成されず、イラン国民は崩壊せず逆に一層の結束を深めたのです。

第2のルート:アメリカを直接戦争に巻き込む

この記事は、イスラエルがアメリカを対イラン直接紛争に引きずり込もうとしていることを強調しています。情報収集力、精密な暗殺、大規模な空爆、そしてイランの迅速な対応能力の欠如を示すことで、イスラエルはアメリカをイラン領土における支援的役割から能動的な戦闘員へと転換させることに成功しました。この転換は、戦争終結時にアメリカがイランの核施設を爆撃したことで明らかになっています。

戦術的には成功するも戦略的には失敗

一見すると、イスラエルの対イラン戦争は成功しているように思われます。前例のない情報網の浸透、軍司令官や核科学者の暗殺、主要インフラの破壊など、一定の成果はありました。また、米国はイランに対して初めて大規模な空爆を実施しましたが、これらの成功はイランの戦略的崩壊にはつながりませんでした。

内部崩壊ではなく国民の結束に

イスラエルの根本的なミスの一つは、イラン国民の反応を見誤ったことでした。イスラエルはこの戦争の最中、イラン国民は国家の存亡よりも国内の不満を優先するだろうと予想していました。しかし実際には、イスラエルの攻撃は国民の結束を促し、国民の抵抗を強めた格好となりました。この結束は、イランの精密ミサイル攻撃と相まって、イスラエルの軍事力を混乱に陥れました。

国家安全保障の再定義

最近の戦争は、イランの安全保障意識を一変させました。特に1980年代のイラン・イラク戦争後の世代にとって、戦争を直接体験したことで、国防の重要性が明白に認識されました。防空体制の強化、航空機の近代化、そしてミサイル開発計画の発展に対する国民の支持は高まっています。

外国の脅威に対する見方の変化

数十年ぶりに、イスラエルとアメリカ合衆国は、すべての一般イラン国民(反体制派の一部を含む)にとって真の脅威と認識されるようになりました。

核の曖昧さ:意図せぬ成果

この記事は、12日間の戦争によってイランが「未申告の核兵器国」になる瀬戸際に追い込まれたと主張しています。IAEA国際原子力機関との協力関係の縮小と、IAEAが保有する濃縮ウランの備蓄によって、イランはイスラエルと同様の立場に置かれていますが、外交コストは発生していません。

この主張は、イランの核活動は平和的であるという公式見解と矛盾しています。西側諸国の主張とは異なり、イランは軍事的な核活動に転じたことは一度もなく、この問題はIAEAの様々な報告書や、ラファエル・グロッシIAEAの声明でも繰り返し述べられています。

結論

本記事は、イスラエルがイランを正しく理解していなかった可能性、そして過去の過ちを繰り返せば深刻な戦略的結果に直面することになる可能性を警告するものです。イスラエルは戦術的には成功を収めたものの、この戦争は戦略的目標を達成できずに終わりました。イランは崩壊するのではなく、国家・国民単位の結束が強化され、核の面でのその曖昧さが増大したのです。

 

 


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