イメージが語るイラン;船乗り・シンドバッドたちの街
イラン南部ホルモズガーン州のバンダル・コングは、ペルシャ湾の主要な港町のひとつです。
バンダル・コングの主な魅力のひとつには、同地にある人類学博物館が挙げられます。観光客はこの博物館を訪れることで、この街の風習や住民たちの気風について知ることができます。
この人類学・航海博物館は、多くの経験豊富な船長や乗組員、水夫らが装備品を持ち込んで完成され、その運営も彼らの手で行われています。毎日午後には、この博物館のあちこちに彼らが姿を現し、見学者に自身の体験を語ったり、海洋や航海に関する説明を館内で行う様子を見ることができます。
この港に住んでいる船長たちは、まさにイエメンからアフリカ、さらにはその東にある島嶼・ザンジバルを抜けてインドへと帆付小型船で航海した、『千夜一夜物語』に登場する船乗り・シンドバッドだと言えます。彼らはナツメヤシを運び、木材を運び、時には商売で様々な国へ向かうため、9ヶ月も海の上で過ごしました。航海用具や造船用具にあふれるこの場所で彼らの思い出話に耳を傾けることは、間違いなく楽しいひと時となることでしょう。特にこの博物館では、古代イランの伝統的な飲料水用の貯水槽・アーブアンバールや、花嫁と花婿のために飾り付けられた寝室・ヘジュレのサンプルを見ることができ、さらに日によっては、伝統儀式も開催されています。
バンダル・コングにある歴史的な通風塔・バードギールは、光あふれる燈明のように陽光を受けて家々の屋上にそびえ立ち、室内を涼しくするというその役割を果たしています。この地には現在も320の歴史的通風塔が残されており、高い場所からはその様子を見渡すことができます。バンダル・コングは、通風塔や歴史的住居が組み合わされた街並みから、ユネスコ世界遺産の暫定リストに入っており、この地方の当局者が現在、正式な登録に向けて努力をしているところです。
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