イランの軍事力を認めたアメリカ
(last modified Thu, 10 Feb 2022 08:21:51 GMT )
2月 10, 2022 17:21 Asia/Tokyo
  • イランの軍事力
    イランの軍事力

西アジアなどを管轄するUSCENTCOM米中央軍の司令官に指名される見通しのマイケル・エリック・クリラ陸軍中将が8日火曜、アメリカ上院軍事委員会の自身の指名承認公聴会で演説しました。同司令官は、「イランは最新鋭の軍事力や広範な代理集団ネットワークを保有し、折りあるごとにわが国やその同盟国に対し力を行使しようとしていることから、これまで通り当軍の活動にとって最も主要な脅威とみなされる」と語っています。

現在、フォートブラッグ基地に拠点を置く陸軍第18空挺軍団の指揮官を務めるクリラ陸軍中将は「軍事力の増強に向けたイランの主な手段は弾道ミサイル、無人機、増大しつつある海軍能力である。イランの保有するミサイルには、地域内の多くの標的に危険をもたらす可能性のある中・短距離ミサイルが含まれる」と述べています。

 

さらに、「イランの地対空ミサイルは、国際空域で活動するアメリカの偵察・諜報機材に対する重大な脅威とみなされる。それに加えて、イラン海軍の巡洋技術は同国のステルス性や地域的な抑止力への傾向を強めている」としました。

 

この米上級司令官がイランの軍事力を認めたことは、過去数十年にも及ぶ大規模な対イラン武器禁輸にもかかわらず、イランの軍事産業と軍隊が防衛・軍事能力の著しい増強に成功し、これがアメリカの懸念を巻き起こしたという事実を物語っています。

 

一方的かつ多角的な各種制裁にもかかわらず、イランは地域の大国として認識されており、地域内外のあらゆる脅威から自らを防衛する能力を有しています。

 

アメリカは常に、イランの軍事力を、特にペルシャ湾南岸諸国をはじめとした地域諸国への脅威として吹聴することで、イラン恐怖症の拡散に努めてきました。そしてそれにより、アメリカは特にペルシャ湾をはじめとした地域での自らの違法な軍事駐留を正当化する一方で、これらの国々を数十億ドル相当のアメリカ製武器購入へと仕向けてきたのです。

 

こうした中、数十年におよぶペルシャ湾地域での米軍の駐留は、この地域での情勢不安や治安のかく乱、そしてテロ蔓延を助長する主要因となってきました。

 

その一方で、イランの防衛政策は基本的に抑止の原則に基づいて発展してきました。

 

真の抑止力を生み出すためには、信頼できる軍事力と兵器能力及び、強力で軍備の整った軍隊を保有することが、基本的な役割を果たすことになります。

 

イランの抑止力の主要な支柱の1つは弾道ミサイル兵器の製造・開発であり、これにはさまざまな射程の弾道ミサイルが含まれています。これらは、イスラム共和制の敵、特に米国とシオニスト政権イスラエルの間で大きな恐怖を生み出しています。

 

アメリカ人アナリストのロビン・ライト氏は、「イランはより射程距離の長い、しかも命中精度や破壊力のより高いミサイルの製造に集中している」と語っています。

 

国防情報機関は、「イランは現在、世界でもトップのミサイル生産国の1つであり、その保有量は西アジアで最大、かつ最も多様性に富んだものである」と報告しています。

 

イランの抑止力のもう一つの側面は、戦力的に不平等な非対称戦争であり、この種の戦争に装備と武器を提供する上でもやはり防衛産業が重要な役割を果たしています。

 

この点で、イラン・イスラム革命防衛隊海軍は様々な規模の数百隻もの各種高速艇を運用しており、ペルシャ湾での米国海軍の脅威に対抗する上で注目に値する力を持っています。

 

イランは無人機、対空防衛システム、地上巡航ミサイル、対艦ミサイルの製造などの高度な軍事技術において前例のない進歩を遂げており、これらは地域におけるアメリカの脅威への対抗を目的とした重要な要素と見なされます。

 

特に、ペルシャ湾でイラン対空防衛部隊が米国の最新鋭無人機・グローバルホークを撃墜したことは、米国の攻撃に対するイランの防御能力を明確に示した形となりました。

 

総合的に見て、イランの軍事力の増大に米軍司令官らは恐怖をさらに募らせており、このことは次期USCENTCOM司令官に推されているクリラ陸軍中将がイランの軍事力を認めた発言に如実に現れていると言えます。

 


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