視点
IAEA理事会での対イラン決議起草者に対するイラン外相の警告
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アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相とボレルEU外務安全保障政策上級代表
アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相が、IAEA国際原子力機関理事会を前に、ツイートの中でボレルEU外務安全保障政策上級代表との最近の電話会談に触れ、「ボレル上級代表と、制裁解除を目指す協議および、その継続方法に関して話し合った」と書き込みました。
アミールアブドッラーヒヤーン外相は、ボレル上級代表との電話会談において、「IAEA内での米英独仏による政治的行動はすべて、イラン側による当意即妙な反応に遭遇するだろう」としています。
また、「IAEA内での対イラン決議の起草者が脅迫的なやり方を追求すれば、彼ら自身がその結果の全責任を負うことになる。我々は、恒久的でしっかりした良好な合意を歓迎する。アメリカと英独仏が現実的になれば、合意が得られるだろう」と述べました。
IAEA理事会は6日月曜に会合を開く予定です。しかし、この会議の実施の一方で、米国とドイツ、フランス、英国のいわゆる欧州トロイカと呼ばれる3ヶ国は共同で同理事会に決議案を提出し、イラン国内にある未申告の核施設で見つかったウラン物質関連の問題が未解決であることが、大きな懸念材料だと主張しています。
この4カ国はまた、「イランとの不十分な協力」により、一連の対立点や保障措置の問題が未解決のままになっていると主張し、イランに対し、すべての保障措置の問題の解決に向けたより多くの協力というIAEAの提案の即時受諾するよう求めています。
どうやら、一方的な制裁の解除とテロ組織リストからのイラン・イスラム革命防衛隊の削除といった、イランの論理的かつ合法的な要求や提案を受け入れることに関して、バイデン米現政権は不合理なアプローチを続行し、ヨーロッパとの共謀を通じた非建設的な行動の中で、特に、IAEA理事会内での対イラン決議採択を示唆することで、イランを厳しい政治的圧力にさらそうとしています。しかし、そうした中で、イランはこれまで、IAEAとの「PMD・軍事的側面の可能性」の問題を解決しました。しかし、今になってIAEAはシオニスト政権イスラエルの主張に押され、未申告と主張する一部の核施設に関してこの問題を再び蒸し返した形となっています。
また、過去および、特にトランプ前米政権による核合意離脱をはじめとした、最大限の圧力行使に基づくアメリカの政策に対するイランの対応方式を振り返ってみれば、イランが脅迫に屈服することはなく、逆に最大の抵抗の方針を踏襲し、抑圧的で違法な米国の制裁の影響を最小限に抑えてきたことが見て取れます。
同時に、非現実的な主張、特にイランがIAEAと十分に協力していないという主張で米国とそのヨーロッパのパートナー国が提案した決議案の実質的なお膳立てという、グロッシIAEA事務局長の非建設的なアプローチを、イランは見逃していません。
グロッシ事務局長は、IAEA理事会の会議の実施を目前に被占領地パレスチナを訪れ、今月3日金曜にはシオニスト政権イスラエルのナフタリ・ベネット首相と会談しました。グロッシ事務局長のこの訪問は、IAEA理事会会議実施が目前に迫っていることや、彼の以前の立場を考えると、同氏がイスラエル当局者と示し合わせて、IAEA理事会でシオニスト政権の対イラン敵対的な政策で同政権と調整した路線をとっていることに疑いの余地はないでしょう。
これにより、イランはIAEA事務局長の立場について警告しました。この点に関して、アミールアブドッラーヒヤーン外相は今月2日、シンガポール外相との電話で、「グロッシ事務局長が最近テヘランを訪問した際に、肯定的なプロセスにより相互に受け入れ可能な合意に達した」とし、「イラン側として技術問題におけるIAEAの政治的干渉を、完全に非建設的であると考える」と述べています。
同時に、IAEA理事会での対イラン決議の採択に関するイラン外相の米およびそのヨーロッパ同盟国への深刻な警告は、イランがこれまで誠実さに基づく立場と行動を繰り返しとってきた一方で、アメリカを筆頭とする西側からの非建設的かつ政治的な工作と恐喝のアプローチの継続を容認せず、米国と英独仏の非建設的な行動に立ち向かうために、それ相当の措置を講じるであろうことを示しているのです。