「広島原爆の日」の式典が開催、核兵器のない世界の実現を訴える
広島市の平和公園で被爆77年を記念する平和記念式典が実施され、被爆者や遺族の代表をはじめ、岸田首相のほか、99の国の代表が参列しました。
広島に原爆が投下されて6日で77年となります。
日本の報道各社によりますと、日本時間の6日土曜午前8時から行われた平和式典には、ことしは、3年ぶりに一般の参列者席が設けられ、新型コロナウイルスの影響で規模を大幅に縮小した去年と一昨年の4倍に当たるおよそ3200人が参列しました。
そして、原爆が投下された現地時間午前8時15分に参列者全員で黙とうをささげました。
ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦により、世界中で核の脅威に対する危機感が広がる中、広島市の松井市長は平和宣言で「核兵器による抑止力なくして平和は維持できないという考えが勢いを増している」と指摘し、生命と財産を守るためには核兵器を無くす以外に根本的な解決策は見いだせないと確信してほしいと訴えました。
また、広島出身の岸田首相は「いかに細く、険しく、難しかろうとも『核兵器のない世界』への道のりを歩んでいく。非核三原則を堅持しつつ『厳しい安全保障環境』という『現実』を『核兵器のない世界』という『理想』に結びつける努力を行っていく」と述べています。
さらに、広島市の平和記念式典に現職の国連トップとして12年ぶりに出席したグテーレス事務総長は、長年にわたり被爆の実態を伝えてきた被爆者の努力をたたえ、世界各地に深刻な核の脅威が広がっていると危機感を示したうえで、「世界は広島で起きたことを決して忘れてはならない。被爆者が残した遺産は決して消滅しない」と述べ、国際社会に対して核廃絶に向けた取り組みを改めて呼びかけました。
被爆地・広島は6日の一日、犠牲者を追悼する祈りに包まれるとともに、核の脅威が高まる今だからこそ「核兵器によってもたらされる悲劇」や「核なき世界の実現を願う被爆者の声」を国内外に発信することにしています。
被爆者の平均年齢が今年、84歳を超えた一方で、被爆の記憶をどのように受け継ぎ、世界に、未来にどのように伝えていくかが問われています。
なお、今回の式典に招待されなかったロシアのガルージン駐日大使は、今回の式典とは別途に今月4日、大使館員ら約20人とともに広島市中区の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に参拝し、献花しました。