10月 14, 2023 18:14 Asia/Tokyo

11日、東京・渋谷のJR渋谷駅前で、シオニスト政権イスラエルを支持する集会が開かれました。しかし、SNS上に拡散した集会の動画に映っていたのは、多数の年配の日本人男女が在日シオニストらよりも前に出て、イスラエル旗を振ったり、ヘブライ語の歌を歌ったりする異様な光景でした。彼らの正体を探りました。

この集会は11日午後、JR渋谷駅のハチ公前で開かれ、在日シオニストらのほか、シオニスト政権のコーヘン駐日大使、エマニュエル米大使、ゲッツェ独大使らも参加し、パレスチナの権利を無視し、イスラエルを支持する一方的な主張を繰り広げました。

しかし、それよりも注目を集めたのは、SNS上に拡散したこの集会の様子を映した動画でした。

そこには、数十名はいると思われる日本人の年配の男女が、イスラエル旗を振り、ヘブライ語の歌を歌ってシオニスト政権への支持を表明していたからです。動画を見ると、この集団の女性のほとんどがバケットハットをかぶっています。

また、別の画像には「エルサレムの平和のために祈れ」などと書かれた横断幕が写っています。実はこれらの特徴は、日本の新興宗教・カルト団体である「キリストの幕屋」が行ってきた活動と一致します。

 

 

 

キリストの幕屋とは?

キリストの幕屋の起源は、戦後間もない頃、熊本のプロテスタント信者であった手島郁郎(1910~1973)が取り組んでいた聖書研究活動にあります。

 

渋谷のイスラエル支持集会

 

手島は次第に、神の声を聞いたり、奇跡を起こせるようになったと主張するようになり、独自の布教活動を開始します。そして1961年に「キリスト聖書塾」の名前で宗教法人格を取得し、正式に組織としての活動をスタートさせました。

60年代に入ると、手島はイスラエルに強い関心を示すようになり、自らの弟子を派遣・留学させるようになります。それは現在の教団でも活動の中核として引き継がれており、公式サイトによれば毎年留学生を送っているとしています。

また、1988年には聖地ベイトルモガッダス・エルサレムに「マクヤセンター」を開設し、日本からの留学生の滞在先となっているほか、シオニストらに日本文化を紹介する拠点ともなっています。

インターネット上には、このキリストの幕屋の信者らがイスラエルを訪れた際の画像が多数出回っています。そこには、「マクヤ」と書かれた法被のようなものを着用し、11日のデモと同じようなバケットハットをかぶり、「エルサレムの平和のために祈れ」と書かれた横断幕を掲げて行進する様子が写っています。

こうしたことから、一部のSNSユーザーからは、11日の集会の動画が出回った直後から、キリストの幕屋による動員を疑う声が出ていました。

そして13日、在日イスラエル大使館は、X(旧ツイッター)にキリストの幕屋の信者から寄せられたビデオメッセージを投稿しました。ビデオでは、信者らがヘブライ語でシオニスト政権への支持を述べた後、歌にのせ、11日の集会の模様と参加信者のインタビューも映されています。大使館みずからが動員を認めたのです。

 

統一教会との近似性

キリストの幕屋のもう一つの特徴は、日本の右派勢力への浸透です。「新しい歴史教科書をつくる会」や安倍政権の強力な支持基盤とされた「日本会議」、教育現場における体罰を推奨する団体「体罰の会」などに多数の人員を送り込んでいると言われています。

こうした右派勢力との近さは、統一教会と通じるものがあります。実際、2010年に当時のキリストの幕屋代表であった手島千代子氏(郁郎の妻)が死去すると、その追悼行事に「つくる会」の西尾幹二元会長と藤岡信勝会長(当時)や、統一教会の関係者が出席したと報じられています。

 

日本の外交にも影響しかねないカルト集団

カルト団体の動員が判明したことで、今回のイスラエル支持集会が、およそ一般の日本市民が自発的に参加したものではないことが証明されました。しかし、国外に対しては、今回拡散した動画があたかも普通の日本の市民がイスラエルを支持しているかのように受け取られる可能性があります。そのようなイメージが国際社会で固定化すれば、日本の外交にも悪影響を与えかねず、またひとつカルト集団の危険性が明らかになったと言えます。

 


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