イラン革命防衛隊司令官暗殺 日本のメディアが報道
(last modified Sat, 04 Jan 2020 13:01:08 GMT )
1月 04, 2020 22:01 Asia/Tokyo
  • ソレイマーニー司令官(中央)
    ソレイマーニー司令官(中央)

イラン革命防衛隊司令官がアメリカによる攻撃で暗殺された事件について、日本の各メディアが報道しました。

イランイスラム革命防衛隊ゴッツ部隊のソレイマーニー司令官は3日金曜未明、イラク民兵組織ハシャド・アルシャビのアブーマハディ・アルムハンディス副司令官らとともに、イラク・バグダッド空港付近で米軍の空爆を受け殉教しました。

イランでは革命最高指導者を初め政府関係者らが米国を激しく非難、また各地で市民による大規模な抗議デモが開催されるなど、緊縛の度合いが高まっています。イラン側は今回の事件を国家テロと位置づけ、今後報復措置に踏み切る構えで、事態の悪化は避けられない情勢です。

ソレイマーニー氏は中東地域における外交や軍事作戦を担う実力者で、国民から「英雄」とも呼ばれるほど人気が高く、3日、ソレイマーニー氏を追悼する集会がイラン各地で行われました。

 

NHKは、トランプ政権でイラン政策を統括するフック特別代表が3日、国務省でNHKの単独インタビューに応じたとして次のように伝えました。

「アメリカのイラン政策を統括するフック特別代表がNHKのインタビューに応じ、殺害したイランの司令官が計画していた攻撃はアメリカ以外にも被害を及ぼす可能性があったとしたうえで『緊張が高まったのはイランがエスカレートさせるのをやめないからだ。アメリカの攻撃はそれをやめさせるためだ』と述べ、事態の一層の緊迫化にはつながらないという考えを示しました。」

 

米国 与野党で評価分かれる

与党・共和党からは全面的に評価する声があがる一方、野党・民主党からはイランによる報復を懸念する声や政権に説明を求める声が相次いでいます。

民主党のペロシ下院議長は声明で「攻撃はさらなる危険な暴力の拡大を引き起こすおそれがある」として、イランによる報復への懸念を表明しました。

そのうえで「今回の措置は議会との協議なしに行われた。議会はこの深刻な状況と、この地域へのアメリカ軍の追加部隊の拡大を含む、政権による次の行動について、直ちに報告を受けなければならない」と述べ、議会としてトランプ政権に詳細な説明を求める考えを強調しました。

 

イラク「米の攻撃はイラクの主権に対する傲慢な侵害」

イランの精鋭部隊、革命防衛隊のソレイマニ司令官がアメリカによる攻撃で殺害されたことを受け、攻撃の舞台となったイラクではアメリカの行動はイラクの主権に反するなどとして批判の声が挙がっています。このうちアブドルマハディ暫定首相は3日、声明を発表し、アメリカによる攻撃を「イラクと地域一帯、そして世界での壊滅的な戦争に発展する導火線に点火するような危険な行為だ」と批判しました。

またイラクで多数派のイスラム教シーア派の最高権威シスターニ師は3日、声明を発表し、アメリカによる攻撃について「イラクの主権と国際的な合意に対する傲慢な侵害だ。攻撃は過激派組織IS=イスラミックステートのテロリストを打ち破った司令官たちの死につながった」として、アメリカの攻撃を非難するとともに中東地域でISとの戦いを主導したソレイマニ氏の死を悼みました。

イラク議会は近く、緊急の会合を開いて対応策を協議する予定で、アメリカとイランがしのぎを削る舞台となってきたイラクが今回のアメリカ軍の攻撃に対してどのような対応を示すのか注目されます。

 

中国 米に自制求める

中国国営の新華社通信によりますと、中国で外交を統括する楊潔チ政治局委員はアメリカのポンペイオ国務長官との電話会談で、「中国は対話と協議を通じて、意見の違いを解決すべきだと一貫して主張していて、武力の使用には反対している。関係各国、特にアメリカには自制を保ち、対話を通じて、問題解決を探る道に早く戻り、緊張状態を緩和させるよう希望する」と述べ、アメリカに対し、事態をエスカレートさせないよう自制を求めました。

トルコ「深く憂慮」

トルコ外務省は3日、声明を発表し、「アメリカとイランの間で緊張が高まっていることを深く憂慮している。イラクが衝突の舞台となれば地域の平和と安定が損なわれてしまうと、われわれは改めて強く警告する」としてアメリカとイランの双方に対し、軍事行動は避け外交によって問題を解決するよう呼びかけています。

ドイツとフランスも懸念表明

ドイツのマース外相は3日、ツイッターで「今は状況がさらにエスカレートして地域全体に火がつくのを防ぐことが大事だ」と書き込みました。

そのうえでアメリカのポンペイオ国務長官とEU=ヨーロッパ連合のボレル上級代表と協議をしたとして、関係する各国と協力して事態の鎮静化を図る考えを示しました。

またフランスのルドリアン外相も3日、声明を発表し「すべての当事者に対して自制を求めるとともに、イランに対して地域の不安定な状況を悪化させたり、核開発で危機をもたらすような行動を避けるよう求める」としています。

そのうえで地域の緊張がこれ以上高まらないように、今後数日間かけて関係国と協議を続ける方針を明らかにしました。

ロシア外相 アメリカを非難

ロシア外務省によりますと、ラブロフ外相はアメリカのポンペイオ国務長官と電話で会談しました。

この中でラブロフ外相はポンペイオ長官に対して「国連の加盟国が別の加盟国の政府関係者を、何も知らない第三の主権国家において排除するという行為は国際法を著しく犯すものであり非難に値する」と非難したということです。

中国の張軍国連大使は安全保障理事会の会合に出席する前、記者団に「状況を注視している。中国は、国際関係におけるいかなる武力の行使にも反対する。イラクの主権と領土の保全は完全に尊重されるべきだ」と述べて、アメリカの軍事行動はイラクの主権侵害に当たるという認識を示しました。

 

米イラン対立、原油高の圧力に 関連施設に攻撃懸念、長期化も

米軍によるイラン司令官の殺害を受けて、原油取引を中心に金融市場が神経質な展開をみせている。イランは昨年秋、サウジアラビア国営石油施設への攻撃に関与したとされる。同様に原油関連施設が米イラン対立に巻き込まれる懸念が浮上し、原油相場を押し上げる圧力となっている。

3日のニューヨーク原油先物相場は、米国産標準油種(WTI)が約7カ月半ぶりの高値を記録した。米株式市場では、主要指標が前日2日に最高値をつけたが、3日は急落した。

 

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