1月 27, 2024 16:57 Asia/Tokyo
  • 疑問視される米のイラク駐留終了めぐる表明
    疑問視される米のイラク駐留終了めぐる表明

あるアメリカ当局者が匿名で語ったところによれば、同国のロマノフスキー駐イラク大使は24日水曜、イラクのフアード・フセイン外相に宛てた書簡において、アメリカおよびその同盟諸国によるイラク軍事駐留の終了をめぐる協議を開始する用意があると伝えたということです。

現在イラクにいる2500人の米軍兵士の駐留継続をめぐり同国で人々の抗議の声がこれまでになく高まっている状況の中、フセイン外相は、ムハンマド・スダニ首相と関係当局者らがロマノフスキー大使からの書簡について検討するだろうと述べました。

しかし、アメリカ政府はこの話と矛盾するように、イラクとシリアにおいて米軍基地がそれぞれ攻撃を受けた後の今月16日、テロ組織ISISとの戦いのためだとして、新たにニュージャージー州兵1500人イラクとシリアに派遣する意向を発表しました。

イラク当局者はこれまでに、自国からの米軍同撤退を繰り返し求めており、スダニ首相も今月初旬に改めて米軍の即時撤退を要求しています。

イラク議会は、2020年1月3日にイラン・イスラム革命防衛隊ゴッヅ部隊のソレイマーニー司令官とイラク民兵組織ハシュド・アル・シャアビのアブーマハディー・アルムハンディス副司令官らがバグダッド空港付近で米軍の無人機攻撃により暗殺されたことを受けて、同月5日、ISISとの戦いを口実に自国に駐留するアメリカ主導多国籍軍の撤退を決議しました。

アメリカはその後も、自国軍のイラク駐留を続けるという違法な行動を取ってきましたが、イラク国内からの政治的圧力を受け、最終的に2021年夏、バイデン大統領が当時のイラクのカディミ首相と、米軍駐留を同年末までに終了させることで合意しました。

トランプ氏の大統領任期の最後の年となった2020年に2500人まで削減されていたイラク駐留米軍は、2021年12月31日には表面上はイラクより撤退しました。しかし米軍は、依然として別の名目をつけてイラクに居座り続けており、現在も同国西部アンバール県のアル・アサド基地や北部アルビール県のハリル基地などの数か所に軍事拠点を置いています。

米軍は、イラク議会での撤退要求決議にもかかわらず、依然として顧問役や訓練役と称してイラクでの駐留を続けていますが、これはイラクの人々の激しい反発に直面しており、イラクとシリアの米軍基地は、人々の要請に沿って自国内での米軍駐留を早急に終了させるべきと考えるイラク抵抗勢力によって、無人機やミサイルでの攻撃を受けています。

これらの攻撃は、特に昨年10月7日のパレスチナ抵抗勢力によるアクサーの嵐作戦後にシオニスト政権イスラエルがガザへの攻撃を開始してから激化しました。ロケット弾、ミサイル、無人機を用いたこのような攻撃激化の背景には、アメリカがシオニスト政権イスラエルを政治や武器供与の面で公然と支援し、ガザの人々の殺戮にアメリカ製の弾薬が使われていることが挙げられます。

アメリカ政府はこのような攻撃への報復として、イラク抵抗組織の拠点を数回攻撃し、ハシュド・アル・シャアビの拠点2か所が米軍の空爆を受けてメンバー2人が殉教しました。これに対してイラク政府は、アメリカの攻撃を非難する声明を発表し、自国の主権維持のためにアメリカ政府を国際レベルで訴える意向を示しました。

イラクの国家安全保障問題顧問は、ハシュド・アル・シャアビの拠点に対する米軍の攻撃を非難しながら、「これは、我が国の主権を明白に侵害する行為である」と述べています。

一方、イラクから軍を撤退させるというアメリカの主張については、イラクの各抵抗組織から疑問視する声が上がっています。

イラクのシーア派抵抗組織・ヒズボッラー旅団は、アメリカがイラクからの軍撤退に向けた協議をイラクと行うとするとした話が流れたのに合わせて、「米政府の主張はまやかしである。米軍のイラクからの完全撤退が実現する時まで、この占領者に対する攻撃は続けられる」と発表しています。

 


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