9月 10, 2018 17:36 Asia/Tokyo

シリア北西部のイドリブは、シリアの反体制派武装勢力やテロリストが集結する最後の拠点となっています。

武器を手放そうとしないテロリストが、この地域に集まっているのです。シリア軍は、テロリストに占領されたイドリブの大規模な解放作戦を行う準備を整えています。シリアでテロが完全に敗北しようとしている最中、証拠から、西側の諜報機関は、イドリブに対する化学兵器攻撃を画策し、シリア政府側がこの攻撃を行ったと非難することで、シリアに対する攻撃の下地を整えようとしていることが明らかになっています。シリアの軍関係者や政府関係者は、領土保全に向けた各国政府の合法的な権利の枠内で、テロ組織ヌスラ戦線に占領されたイドリブの解放作戦に着手することを決定しています。この決意は、以前に、シリア南部のダルアーと南西部のクネイトラで実現し、最終的にシリアのテロリストや反体制派武装勢力は、家族をイドリブに移動させました。

テロリストをイドリブに移したシリア軍の戦略的な目的とは、テロとの戦いにおける戦線の統一であり、現在、この目的はシリア各地で実施されています。現在、イドリブにおける最後のテロリストの拠点の掃討作戦に向けたカウントダウンが始まっているのです。

 

イドリブ:西側の喧騒

イドリブのテロ掃討作戦に向けたシリア軍の準備が進められ、また、シリア北西部の周辺地域に軍隊が派遣されているのと同時に、アメリカ主導の西側諸国による騒乱が形成されつつあります。西側の体制責任者は、シリア軍がイドリブ解放作戦で化学兵器を使えば、シリアを攻撃すると警告しました。この警告は、以前のシナリオに基づいて進められ、ホワイトヘルメットと呼ばれる集団は、イドリブにおいてこれに関する活動を行っています。シリアのムアッリム外務大臣は、次のように語っています。

「イギリスの特殊機関は、ヌスラ戦線のテロリストに対して、化学兵器を含む兵器を密輸して、ホワイトヘルメットの占領下にあるイドリブの数箇所に供与して、彼らに対する支援を行っている。テロリストの役割とは、イドリブに対する攻撃と共に、化学兵器を含むこの大量の兵器を民間人に使用し、化学兵器を使用したとしてシリア政府を非難することだ」

アメリカ、イギリス、フランスは2018年4月、戦略的なダマスカス郊外の東グータ地区の解放と同時に、シリア軍が東グータのドゥマで化学兵器を使用したと主張し、共同で、シリアに対するミサイル攻撃を行いました。この攻撃は、どちらの側が化学兵器を使用したかについての国際的な調査が終わっていない中で行われました。

シリア軍がテロとの戦いで勝利するたびに、西側はあるシナリオに沿ってシリアを攻撃しています。現在、イドリブ解放作戦の開始に際して、この状況が繰り返されようとしているのです。

レバノンのアルマヤーディンテレビは、9月5日夜、次のように発表しました。

「イドリブ州ジスルアッシュグールから入手された情報では、この町で、テロリスト側の司令官の家族がこの町から避難した後に、化学兵器攻撃が行われる」

このシナリオと同時に、ロシアは西側、特にアメリカに対して警告を発しています。ロシアのラブロフ外相は、8月30日、特にアメリカに対して、シリア・イドリブにおける化学兵器攻撃は避けるべきであり、これらの活動は火遊びだとしました。また、西側諸国、特にアメリカは、シリア軍への攻撃の理由として、化学兵器を利用しているとしました。

 

シリア軍の真剣な意志

シリアに対する陰謀にもかかわらず、シリア軍とこの国の指導者は、シリアのテロ集団の拠点を掃討する上での、抵抗の歩みを確固たるものにしています。シリアは国内の力と、イランとロシアの支援により、テロとの戦いの中で成功を収めています。

ある政治問題の専門家は、ロシアトゥデイとのインタビューで、次のように語りました。

「イドリブはシリアの領土の一部であり、この国の体制は、解放作戦を行う権利がある」

シリアはイドリブの解放作戦の実施のために、あらゆる方法を考慮しています。イドリブの人口は300万人に上り、シリアの政府と軍は、人的被害を最小限に食い止めるようにしなければなりません。発表されているだけでも、シリア政府は、イドリブの掃討作戦のために軍事攻撃を行う以外の選択肢を持たず、この選択肢の実施は、この地域の武装組織の意志にかかっています。

いずれにせよ、イドリブの掃討作戦は決定的であり、この目的はいずれの状況においても、シリアの軍と指導者に注目されています。これに関して、レバノンの新聞アルバナーは、9月5日付の記事で、次のように記しています。

「イドリブは、どのような状況下でもシリアの体制が注目する場所であり、この奪還のために努力することになるが、この中でアメリカは重要とはされていない」

現在、シリアの将来に関して、シリア政府への圧力行使を目的とした、シリアに対する抗議を行うアプローチの継続により、イドリブの重要性は増しています。この中で、西側、特にアメリカはシリアの今後に関する目的を推進するため、イドリブのテロ組織や武装組織を必要としています。アメリカのトランプ大統領が最近、イドリブに関して起こした騒動は、いくつかのシナリオの枠内で見定めることができます。

シリアの匿名の情報筋は、最近、レバノンのアルアヘドニュースに対して、次のように語りました。

「シナリオのひとつは、アメリカ政府が、シリアでロシアをけん制し、経済的な成果を得て、最終的にはシリア国内を根本的に変えるため、アメリカ軍をシリアに駐留させ続けることだ」

 

イドリブ:テロ支援者にとっての唯一の希望

テロリストがイドリブに居座りつづけることは、アメリカやそのほかのテロ支援者にとって、7年間果たせなかった目的を特定の日に実行する機会を整えることになります。イドリブの解放作戦の実施に向けたシリア軍の行動に対する西側の反応は、この点から重要性を有しています。このため、政治専門家で新聞記者のトトロ氏は、ロシア・スプートニクのインタビューで、次のように語りました。

「イドリブ州がテロリストにとって重要なのは、そこが彼らの最後の拠点だからだ。この州の解放作戦は、シリアにおけるISISやヌスラ戦線などのテロ組織の占領が終了する兆候だ」

いずれにしても、イドリブの解放作戦に関して、様々なシナリオが提示されており、アメリカとその支持者は、このシナリオにおけるゲームを有利な形に変えようとしています。このゲームは、シリアの意志をくじかせることです。アメリカはこれ以前にも、あるシナリオで、好ましい結果にはいたらなかったシナリオを実行した経験があります。

地域や国際社会が力強く参入すれば、アメリカはこのゲームを自分の有利な形に変えることはできないでしょう、こうした中で、イラン、ロシア、トルコはシリア危機の解決と、イドリブの状況を管理する上で、大きな重要性を有しています。

シリアと西アジア地域の今後を決定する動きは、イドリブにおけるテロリストの終焉に大いに関係しており、このプロセスを特定の目的に導くのは、シリア危機に関するイラン、ロシア、トルコの合意なのです。このため、この時期、テロリストとその支援者との戦いは、イドリブの解放作戦におけるシリア軍の真剣な計画により、クライマックスを迎えるのです。

 

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