サッカーW杯カタール大会、イスラム教への偏見なくす好機に
サッカーW杯カタール大会に乗じ、カタール各地では期間中に同国を訪れると予想される百万人以上のサッカーファンに対し、イスラム教への偏見をなくそうとする取り組みが行われています。
フランス通信が11日日曜、報じたところによりますと、今回はイスラム教国で初めて開催されたサッカーW杯となっています。
首都ドーハのカタラ文化村にある、青と紫の見事なモザイク画で知られるオスマン帝国様式のモスク(イスラム礼拝所)を管理しているカタール・ゲスト・センターは、W杯に合わせて世界中から数十人の説教師を招聘(しょうへい)しました。
このモスクの外には、イスラムやその偉大な預言者ムハンマドについて説明した多言語の冊子やアラビアコーヒー、ナツメヤシなどが置かれています。
この他、モスクの近くでも「カタールについての質問にお答えします」という看板を掲げたボランティアが、立ち寄った人にアラビックコーヒーを振る舞っており、イスラム教に関して説明する5分間の仮想現実(VR)動画を見るコーナーも設けられています。
このモスクを訪れていたあるカナダ人夫婦は、ガイドに案内されながら礼拝の呼び掛けに耳を傾けていました。
またこの夫婦は、イスラム文化に接するのは初めてだとし、「自分とは違う文化や人々への偏見が生まれるのは、異文化圏との触れ合いがないからだ」とコメントしています。
さらに、家族でカタールに滞在しているクロアチア人男性(21)も、「イスラムを知るよい機会だ」と語りました。
これについて、カタール大学でシャリア(イスラム法)を教えているスルタン・ビン・イブラヒム・アル・ハシェミ教授は、W杯はイスラム嫌悪の解消だけでなく、イスラム理解への勧誘にも利用するべきだと主張しています。
その一方で、「機会があれば、(外国人のサッカーファンに)礼節をもってイスラム教を勧める。機会がなければ、あなた方は客人であり兄弟だと伝える」と強調しました。