視点
8年経過のイエメン戦争、主な犠牲者は子ども
イエメン戦争開始から丸8年が経過しようとしていますが、その期間中には10分に1人の割合でイエメン人の子どもが命を落としてきました。
対イエメン戦争は2015年3月26日に勃発しました。国連はこの戦争を、「21世紀最大の人類の危機」としています。そして、この戦争の主な犠牲の一部が未成年の子どもたちで占められていることは紛れもない事実です。
女性と子どもの人権の分野で活動する人権団体「インティサーフ」は、去る2月末に発表した報告書で、「イエメン戦争ではこれまでに、1万3482人の女性と子どもが死傷した。また、800万人以上の女性が救済支援を、さらに1260万人の子どもが何らかの人道援助を必要としている」としています。
イエメン戦争勃発から丸8年が経過しようとしている中、ユニセフ・国連児童基金も先日、イエメン国内にいる約1100万人の子どもたちが置かれた惨状に懸念を示し、「これらの子どもたちは、平均すると10分に1人の割合で予防できるような疾病で死亡している」と発表しました。
イエメンの子どもたちに待ち受けていた運命は、現在の戦争で命を落とすことだけではありませんでした。このほかにも、致命的な疾病への罹患、著しい栄養不良、住む家を失うなどの苦い体験を、イエメンの子どもたちは過去8年間の戦争で通り抜けてきました。ユニセフの声明でもこれに関して、「現在、イエメンでは5歳以下の子ども54万人以上が、生命を脅かす深刻な栄養不良にさいなまれている」と説明されています。
戦争や封鎖の影響は疑うまでもなく、戦争の終わった後もイエメンの子どもたちに容赦なく降りかかることとなります。イエメンの子どもたちの多くが、家族の一部、大半、あるいは全員を失っています。また、そうした子どもたちの中には、戦争で直接の攻撃を受けたために身体的障害を負った者もいます。さらに、一部の子どもたちは収入が途絶えたことからその日の糧を得るために、勉強の継続を断念し、働がざるを得なくなっているのです。そのほか、封鎖の影響で食料や医薬品が不足していることにより病気に罹患した子どもも少なくありません。戦争はまた、身体面に加えて子どもの精神・メンタル面にも破壊的な悪影響を及ぼし、それは長期にわたり続く可能性があります。
これについて、イエメンの人権団体「人類の目」のアフメド・アブーホムラー所長は、「サウジアラビア主導アラブ連合軍の直接の空爆や砲撃により、イエメンの子どもたちは4061人が殉教、4739人が負傷している」とし、さらに「アラブ連合軍による8年間の侵略で多数の子どもたちが殉教・負傷している。戦争の影響は長間にわたっていることからも、これらの子どもが誤って攻撃の対象とされた可能性は皆無である」と続けました。
最後に注目すべき点として、イエメンの子どもたちにとって戦争の影響は甚大であるにもかかわらず、大国や国際機関が彼らの支援に向けた措置を全く講じてこなかったことが指摘されます。