イスラム教徒の重要な祝祭・ガディールホム
イスラム諸国では毎年、シーア派初代イマーム・アリーがイスラムの預言者ムハンマドの後継者に選ばれたことにちなむガディールホムの祝祭行事が盛大に開催され、人々は花や菓子、さらには食事などを振舞ってこの日を祝います。
ガディールホムとは、サウジアラビアの聖地メッカとメディナの間に位置する地名で、イマーム・アリーが後継者に選ばれた場所です。
この祝祭はシーア派教徒のものとされ、毎年全世界で盛大に執り行われます。
また、人々の団結を促す要素を帯びていることから、この日はイスラム教徒間の対立にではなく、イスラム社会における団結・結束の実現につながることに焦点が当てられます。
宗教学者のモスレム・モンファレド師は、ファールス通信のインタビューで、イスラム歴ゼルハッジャ月18日(2023年は7月7日に相当)のガディールホムの日について、次のように説明しました;
「ガディールホムでの出来事は、シーア派とスンニー派の関連資料で頻繁に語られている。イスラムの預言者ムハンマドはこの日、自身にとって最後となるメッカ巡礼からの帰途において、この巡礼に参加した全てのイスラム教徒に対し、ガディールホムの地に集合するよう呼びかけた。そして集まった大群衆の面前で、イマーム・アリーの手を取って高く掲げ、『誰でも私を主人とする者は、アリーを主人とする』との有名な文句を語った」
モンファレド師はさらに、「その場に参集した人々の中には、預言者の教友といった有力者もいたが、彼らもイマーム・アリーに忠誠を誓った」と述べています。
そして、「シーア派では、イスラムの預言者ムハンマドがガディールにおいてイマーム・アリーを自らの後継者、さらには神から遣わされたイスラム共同体の指導者に選定し、すべての人々に対しイマーム・アリーに忠誠を誓うことが求められたとされている」としています。
これに関して、宗教上の疑問に回答する国立機関専門家の1人、ザハラー・エブラーヒーミー女史は、「ガディールは、(イスラムの)後継者に対する信念という個人的事柄にとどまらない、イスラム社会や政体発足の際の基軸にもされる社会的テーマである」と語っています。