イスラエルは「南アフリカの二の舞」に直面しているのか?
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シオニスト政権イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相
BBCの英語版サイトは今月中旬、「シオニスト政権イスラエルは『南アフリカの二の舞』に直面しているか?」と題する詳細な記事で、イスラエルが南アフリカの経験を繰り返すというテーマについて取り上げました。
パレスチナ・ガザでの紛争が続く中、イスラエルは世界で益々孤立する一方です。有識者の多くは、イスラエルが「南アフリカ」と同じ轍を踏みつつあるのではないか、との疑問を呈しています。その瞬間とは政治、経済、文化、スポーツの分野での制裁によって南アフリカにかつてたあったアパルトヘイトという人種差別体制が屈服させられた瞬間のことです。イスラエルの元首相だったエフード・バラク、及びエフード・オルメルトの両氏は「ネタニヤフ現首相が原因でイスラエルが世界で爪弾きにされることになった」と警告しています。
法的・外交的圧力
ネタニヤフ・イスラエル首相はICC国際刑事裁判所から逮捕状を発行されたことで、海外渡航を厳しく制限されることとなりました。同時に、英国、フランス、ベルギー、カナダ、オーストラリアなどの国々は相次いで、パレスチナを国家承認する意向を表明しています。またアラブ世界では、カタール首都ドーハにあるパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマス指導者に対するイスラエルの軍事攻撃への怒りが高まっており、ドーハでは先般において共同対応を協議する会合が開催されました。
制裁と経済分野での措置
- ベルギー:ヨルダン川西岸の違法入植地からの輸入禁止、イスラエル企業との協力制限、シオニスト過激派閣僚への制裁
‐スペイン:非公式の武器禁輸措置を法律化、戦争犯罪に関与した者のスペイン領への入国禁止、シオニスト政権向け武器を積載した船舶のスペイン入港禁止
- ノルウェー:イスラエル企業から世界最大の投資ファンド(2兆ドル)が撤退
- EU欧州連合:シオニスト極右閣僚への制裁および、対イスラエル貿易協定の一部停止を計画。欧州委員会委員長は、ガザでの出来事が「世界の良心」を震撼させたと表明
文化・スポーツ分野での制裁
- ユーロビジョン:アイルランド、スペイン、オランダ、スロベニアは、欧州で春の風物詩になっている2026年の国別対抗の歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」について、イスラエルが参加した場合のボイコットを警告
- 映画・芸術: エマ・ストーン氏やハビエル・バルデム氏などのスターを含む4000人以上のアーティストが、イスラエルの映画祭や企業のボイコットを呼びかけ
- スポーツ:スペインでの自転車ロードレース選手権「ブエルタ・ア・エスパーニャ」がパレスチナ支持者の抗議により度々中断され、閉会式が中止。チェス選手権では、イスラエル選手が棄権に追い込まれる
元シオニスト外交官らの懸念
- エレミ・イッサシャロフ氏(元駐ドイツ・イスラエル大使)の話:「イスラエルの国際的信頼性が著しく低下している一方で、一部の国際的な措置はイスラエル市民全体を標的としたもので、逆効果になる可能性あり」
- イラン・バルク氏(元駐南アフリカ・イスラエル大使)の話:「圧力と制裁は必要であり、これらの方法によってのみイスラエルに政策変更を迫ることが可能である。自分はこれらの圧力の代償を払う覚悟がある」
結論
イスラエルは現在、外交、経済、文化、スポーツの多方面から圧力の波に直面しており、多くの人々はこれを南アフリカのアパルトヘイト終結のプロセスに酷似したものと考えています。確かに、米国や一部の欧州諸国からの支援は依然として、イスラエルにとっての盾として機能していますが、ガザでの紛争の継続、増加する人的被害、そしてイスラエル政府の極右的な政策は、イスラエルが「爪弾き政権」となるリスクを高めているのです。
こうした圧力が南アフリカの経験のようにイスラエルの政策に構造的な変化をもたらすかどうかは、今後の経過を待つ必要があります。しかし、唯一確かなことは、イスラエルは方針を変えない限り、国際社会でこれまで通り容易に自らの立場を維持できないということなのです。