分裂寸前のガザ:政治的膠着状態と長期的な崩壊の危険
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ガザ地区は今や分断の寸前
ガザ戦争の終結という米国の計画が停止され、その次の段階の実施が頓挫したことで、事実上この地域の展望には危険な暗雲が立ち込めています。つまりガザの現状は、パレスチナ軍とシオニスト政権イスラエルとの間で分割されていることを示す兆候が見られるということです。
ロイター通信の新たな報道によりますと、トランプ米大統領が提唱した、ガザ戦争終結のためのいわゆる「トランプ計画」の実施が停止され、ガザ地区が2つの別々の地域に分断される危険性があります。
【ParsToday西アジア】イラン学生イスナー通信によりますと、ガザ紛争終結に向けた「トランプ計画」の第一段階は去る10月に開始され、ガザ地区南部ラファとガザ市の一部を含むガザの半分以上がイスラエル軍の支配下に入ったものの、軍の撤退、暫定政府の樹立、そして復興を含む第2段階目は政治的な行き詰まり状態に陥っています。アナリストらの間では、この状況がガザの政治的・地理的な分断を今後数年にわたり固定化する可能性があると見られています。
欧州の情報筋によれば、復興はイスラエルの支配下にある地域でのみ開始される予定で、アナリストらは、この動きにより「イエローライン」(合意の第1段階でイスラエル軍がその地点まで撤退した境界線)として知られる新しい国境が恒久的な現実になるだろうと指摘しています。
一方、パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスは武装解除に反対し、イスラエル側はパレスチナ自治政府の役割を認めていません。当事者間のこれらの見解対立により、計画の次の段階の実施は事実上不可能となっているのです。
こうした不透明な現状の中、パレスチナ各地に再びハマスが姿を現し、ガザ北部でイスラエル側の拠点が強化されていることは、この地区が事実上分断されていることを如実に物語っています。専門家らは「アメリカからの圧力と独立国家パレスチナ樹立への政治的合意がなければ、現状は恒久的かつ危険な形で固定化されかねない」と警告しています。
ロイター通信によりますと、この傾向が続けばガザの人道危機が悪化するとともに、独立国家パレスチナ樹立という理念はこれまで以上に実現不可能となり、西アジアを情勢不安の新たな局面に陥れかねないという厳しい現実をまねくと思われるのです。

