先行き不透明なシリア和平会議
シリア和平会議に関する国連のシリア特使の表明は、これまで以上にこの会議の展望を暗いものにしています。
デミストゥラ・シリア特使は、スウェーデンの新聞のインタビューで、「シリア和平会議は、希望していた2月25日にジュネーブで再開されないだろう」と述べました。デミストゥラ特使は、「実際、シリアの戦闘の関係者を期日までに協議の席につかせることはできないが、できるだけ早く会議を開催するつもりだ」と述べました。同特使によれば、シリア問題を解決するには単に協議開催に関する話し合いではなく、実際の協議が必要だということです。
デミストゥラ特使はジュネーブでのシリア和平会議再開についてはっきりしたことを考えていません。2月3日に行われた前回の会議も、サウジアラビアとトルコの妨害により行き詰りました。ドイツ・ミュンヘンでのシリア問題の解決を目指す国際会議の開催と1週間のシリアでの停戦に向けた合意により、和平協議の暗闇に希望の光が見えてきましたが、今、再度、絶望的な状況になっています。
シリアを支援する国際グループの協議に参加しながら、誤った軍事行動を追求している国々は、5年にわたるシリア問題の解決を目指す国際的な努力の前に横たわる深刻な障害です。ミュンヘンでの合意と同時に、トルコは、シリア北部で、テロリストの前線を強化する目的で武装勢力に自国の国境を開放しました。トルコの行動と平行して、サウジアラビアの外務大臣もドイツの週刊誌シュピーゲルのインタビューで、「サウジはシリアのいわゆる穏健派のテロリストにロケット弾を装備させるつもりだ」と語りました。このサウジとトルコの行動は、シリア北部の武装グループの拠点を攻撃しているロシアやシリア軍の行動とは対極にあります。サウジアラビアとトルコは、ロシアの戦闘機はISISではなく、穏健派のテロリストの拠点を攻撃していると主張しています。
シリアとロシア軍の真剣なテロ対策は、トルコやサウジ、その他の反アサド政権の国々にとっては、テロ対策ではなく、サウジやトルコが穏健派のテロリストに行っている資金・武器支援が、ISISとの戦いとして解釈されています。テロへの異なった見方は、シリア問題の政治的解決の過程を遅延させています。
反アサド戦線、穏健派のテロリストの支援者はシリア和平会議を支持することで、テロを利用しています。テロとの戦いにおいて重要な役割を果たしているシリアのクルド人の拠点への攻撃は、シリア問題の関係者の立場に溝ができていることを示しています。トルコ、サウジアラビア、カタール、その他の反アサド政権の国々がテロを道具とみなし、アサド大統領の排除を模索している限り、シリア和平会議に期待することはできないのです。