飢餓状態に瀕しているイエメン
国連のマクゴールドリック・イエメン担当人道調整官が、封鎖の継続と食料の不足により、イエメンは飢餓の段階に瀕していると警告を発しました。
IRIBエマーディー解説員
サウジアラビアのイエメン攻撃の開始から1年9ヶ月が経過しましたが、サウジアラビア政府は癒着しているハーディ元大統領の政権復帰という主な目的を果たしていません。サウジアラビアは西側の大国の支援と、国連の怠慢により、イエメン各地に対する空爆を続けています。この攻撃の結果、これまでにイエメンの政治的な安定と秩序は崩れ、大規模な情勢不安と暴力が現れ、またイエメンの一部地域はテロリストに占領され、なによりも、イエメンは人道上の緊急状態におかれています。
この攻撃の中で、数万人のイエメン人が死傷し、数百万人が難民化しました。イエメンの都市のインフラの80%は破壊されています。また、イエメンの人口2400万人のうち、2100万人以上が人道支援を必要としています。さらに1400万人以上が食の安全の欠如に直面しています。こうした中、イエメンの子供の状況は、より危険なものです。マクゴールドリック人道調整官によりますと、イエメンの子供700万人が極度の飢餓状態に直面しており、子供10人のうち8人が栄養不良の状態にあるということです。
FAO・国連食糧農業機関は今年9月、報告を発表し、イエメンでは人口の半分以上に当たる1410万人が食の安全の欠如に直面しており、このうち少なくとも700万人が緊急支援を要する最悪の状態にあり、710万人も、この一歩手前の状態で、危機的状況の中で生活しています。この状況により、マクゴールドリック人道調整官はイエメンが飢餓状態に近いことを伝えているのです。イエメンでの飢餓により、犠牲者の数はさらに増加する可能性があります。
しかし、この人道調整官に注目されておらず、一部の国連機関が強調していることは、イエメンにおける感染症の拡大です。実際、コレラをはじめとする伝染病も、イエメンの人々にとっての問題のひとつとなっています。この主な要因は、衛生的でない水と、イエメンの衛生システムが崩壊していることにあります。これに関して、イエメンの保健省は、今月8日、同国の15の州で感染症が拡大していると伝えました。イエメン保健省の感染症対策部長は今月、現在138名が15の州でコレラに感染していると発表しました。WHO世界保健機関の今年8月の報告によれば、37%の病院を含むイエメンの衛生施設の45%のみが完全な形で活動しているという中で、この感染症は拡大しています。
重要なのは、国連の関係者や一部の機関がイエメンについて出しているこの懸念と警告にもかかわらず、国連はこれまで、この危機の打開のために真剣な措置をまったく行っていない、ということです。国連はイエメン危機において、少なくともこの10年間でもっとも怠慢な態度をとっているといえるでしょう。