米が対イラン取引を口実として企業へ制裁、イラン側は反発
アメリカが、イランとの取引があったことを口実に、新たに中国、UAEアラブ首長国連邦、シンガポール、マレーシアの企業6社および、パナマ船籍の船舶1隻を制裁対象としました。
アメリカは世界最大の制裁行使国とされており、自らの利益確保を目的とした、他国に対する一方的な各種制裁の行使に関して、世界で最も長い経歴を有しています。
これらの制裁は、人権侵害などの様々な政治的口実により、イランやロシア、ベネズエラ、中国、キューバなどの国に対し行使されています。
このような制裁のために、制裁を受けている国々は世界市場にアクセスできなくなっているほか、医薬品や医療面での必需品の調達もままならなくなっています。
アメリカ財務省は1日月曜、中国企業3社、UAE企業1社、シンガポール企業1社、在マレーシア企業1社、そしてパナマ船籍の石油タンカー1隻を、イラン石油化学企業との取引を口実として制裁対象リストに加えました。
この問題について、イラン外務省のキャンアーニー報道官は2日火曜未明、「アメリカが制裁に常習癖を持ち、制裁行使を手段としていることは、同国が覇権体制を敷いている指標の1つであり、政権が交代してもそのアプローチは変えていない」と述べています。
また、「バイデン米現政権の責任者らは、トランプ前政権による最大限の圧力行使政策を、奏功せず失敗した政策だと口先では繰り返し表明しているが、行動としてはその政策を続行し、さらに拡大させている有様である。その証拠に、対イラン核合意復帰を目指しての交渉再開に向けて現在行われている努力の渦中でも、そのような破壊的で何も生み出さない行為にしがみついている」としました。
さらに、「イランは第一に、制裁継続を求めるホワイトハウスの主張に対し迅速な反応を断固として示すだろう。そして次に、そのような制裁がわが国の通商・経済に及ぼす悪影響の緩和に必要なすべての措置を講じる見通しだ」と語っています。
最後に、「最近国内で発生した洪水によりイラン市民が生命を奪われ多大な経済的損失を被った中で明らかにされたこれらの制裁は、アメリカのイラン担当特別代表の弔意表明が芝居的なものであり、偽善にすぎないことを明らかにした」と述べました。
アメリカのこうした新たな制裁行使の一方で、バイデン米政権は、交渉を通じて自国の対イラン核合意への復帰に必要な土台を準備するつもりだと主張しています。
ここ数か月、バイデン政権の当局者は、最大の圧力政策の失敗を繰り返し認め、アメリカを核合意に復帰させるつもりであると述べています。
しかしこれまでのところ、彼らはこの合意に戻るために必要な措置を講じようとしていません
イランは責任ある国として、「米国が合意に違反した当事者であることを考えると、制裁を解除して合意に戻るべきは米国であり、しかも米国の約束履行状況は検証される必要がある」と繰り返し表明してきました。
もっとも、イランは米国の核合意復帰を主張することも急がせることもない、と強調しています。