ユーロの対ドル下落が継続
各情報筋が、米ドルに対するユーロの下落が続き、過去20年間で最低水準に達していることを伝えました。
去る2月末にウクライナ戦争が始まってから起きたエネルギー危機は、物価の高騰を引き起こしたほか、ロシアとヨーロッパとの関係を大きな打撃を与えました。
これにより先月、ユーロの対ドル相場は大幅に下がり、過去20年間で前例のない下落となっています。
冬を控えてのエネルギー供給分野での緊張は、生活費も高騰する中でユーロ圏経済を脅かしています。
イルナー通信によりますと、ロシア国営企業・ガスプロムが2日金曜にヨーロッパ向けの主要パイプラインであるノルドストリームの稼動停止を発表した後、ドイツをはじめとするこの地域の主な国々は、生活費・エネルギー価格危機への対処を目的とした措置を発表しました。
EU加盟国で使用されるユーロは、5日月曜も 0.7%下落し、2002年以来の最低水準となる98.83セントにまで落ち込みました。
さらに、週末の欧州中央銀行の決定を前にして、ユーロ圏の流動性の高い50銘柄を対象とした株価指数・ユーロ・ストックス50も、3.3%下落しました。
ナショナルオーストラリア銀行の為替担当ストラテジストであるロドリゴ・カトリル氏は、これについて「ユーロは、ロシアの欧州向けガス供給停止の影響をもろに受けたことで、さらに下落した。ガスなくしては、経済成長はありえない」と述べています。
ヨーロッパでの危機が激化していることを受け、同地域の経済大国であるドイツは4日日曜、インフレ対処を目的とした約650億ユーロ(650億ドル)相当の措置について発表しました。
フィンランドも、電力市場を安定させるために100億ドル相当の措置を取ることを発表しているほか、3日土曜にはスウェーデンも、金融危機の拡大を防ぐため、電力会社に対する230億ドルの緊急支援を視野に入れていると明らかにしました。
このような中、米金融グループ・ゴールドマンサックスのアナリストは、ユーロの対ドル相場は今後 3 か月以内に97セントにまで達すると予測しています。