プレスTVが、エネルギー危機による昨冬のEU圏死者増加を分析
イランのプレスTVが、英紙エコノミストがまとめた公式データを引用しながら、EU加盟国で2022年の冬に暖房を使えなかったために6万8000人が亡くなったことを伝えました。
エコノミストが2022年11月から2023年2月の欧州の状況について調査したところによれば、この期間に欧州28カ国で5万9700人が新型コロナウイルスで亡くなったものの、この地域では、それよりもさらに多くの6万8000人がエネルギー危機の犠牲となっていたということです。
プレスTVの取材によりますと、EUの政治指導者がロシアから安価なエネルギー供給を拒んだことで、「エネルギー貧困」は欧州における「ナンバーワン」の問題になっており、多くの欧州人はこの統計結果に驚いてはいませんでした。ある欧州市民は、この問題は政府レベルで解決する必要があり、当局が貧しい人々や中流階級が安価なエネルギーの不足に対処できるよう、政策を変更すべきだと指摘しました。
プレスTVは、ロシアから安価なエネルギー供給を遮断するというEU首脳の行動が、膨大な数の人々の死を招いたとみており、欧州委員会でさえ、ユーロ圏が極めて高いコアインフレに直面しているのは、対露制裁によるものだと認めざるを得ないと指摘しました。
また、EUの経済担当トップ、バルディス・ドンブロウスキス氏は、「これは、特に低・中所得者層の人々の購買力に影響を及ぼし、EU企業の競争力を低下させる」と述べています。
プレスTVはさらに欧州の「エネルギー貧困」のもう一つの理由は、ウクライナに対する不当にEUの巨額な資金援助であるとしました。
EUのジョセップ・ボレル外相は、「軍事、民生、人道、財政、難民支援など、ウクライナに対する支援を合計すると、EUとその加盟国は650億ユーロ(約9兆7700億円)を提供したことになる」と発言しています。
エコノミストの調査では、2022年の冬の天候がそれほど穏やかなものでなければ、電気料金の高騰に関連した死亡者数はさらに多くなっていた恐れがあるとされていました。しかしプレスTVによれば、問題なのは、EU当局が妥当な価格でのエネルギー供給を確保できず、今度の冬にもっと寒くなることが判明した場合、どれだけの人が死亡する可能性があるのかという点だということです。
これよりも前、国際エネルギー機関のファティ・ビロル代表は、来年の冬は非常に困難なものになる要因が数多く存在するため、現在の天然ガス価格の下落によるエネルギー危機の早期終息を期待しないようにとヨーロッパ人に呼びかけていました。