7月 09, 2023 20:49 Asia/Tokyo

ウクライナ戦争は開戦後500日を超えましたが、いまだ終結の見通しは立っていません。当初は短期間で決着すると思われていたこの戦争は、血なまぐさい長期的軍事衝突と化しています。

2022年2月24日木曜朝、ロシアのプーチン大統領はテレビ演説で、同国軍がウクライナ東部ドンバス地域特別軍事作戦を実施すると発表しました。この発表直後、プーチン大統領はウクライナの「非軍事化」を呼び掛け、ウクライナ兵士に武器を捨てるよう求めました。

ロシアはそれ以前からウクライナに対して、NATO北大西洋条約機構に加盟せず、ドンバス地域に住むロシア系住民の権利の尊重などを求めてきましたが、ウクライナ側がこれを無視したことを受け、ロシア政府は行動を起こしました。

プーチン大統領の演説後、バイデン米大統領は声明を発表し、ウクライナ戦争とその壊滅的な損失の責任はロシアにあると非難しました。しかしその一方、アメリカ政府は現在の壊滅的な状況を招いた原因に自ら直接関与したという事実を意図的に無視しています。

 

ウクライナ戦争

 

ウクライナ戦争中、多くの政治・軍事的な情勢変化が起こりましたが、この戦争でロシアが挙げた最も重要な戦果は恐らく、多大な人的・物的損失と引き換えに、ウクライナの東部4州を正式に併合したことだと言えそうです。そしてこのことは、ウクライナ戦争における重要な転換点と見なされています。

ウクライナ戦争は、ロシアに対する西側諸国の悪意と攻撃的な行動の結果であると見ることができます。ロシアのウクライナ攻撃は事実上、ウクライナのNATO加盟奨励やロシアの国家安全保障に対する深刻なリスクの扇動という、西側諸国の敵対的な行動に対するロシアの反応にほかなりません。

ロシアのこの行動は、ウクライナのNATO加盟断念および、1997年当時のNATO勢力圏への撤退というロシアの合理的な要求に対する米国とNATOの否定的な反応の後、つまり中・東欧諸国のNATO加盟プロセスが始まる前に行われました。

複数の証拠が示唆しているのは、冷戦後徐々にロシアに対する敵対的な立場に転じ、同国を弱体化させようとしてきたNATOと米国が今や、ウクライナ戦争を軍事・経済、そして最終的には政治的にロシアを潰し、プーチン大統領の正当性を激減させる千載一遇の機会とみなしていることです。

アメリカは長い間、ロシアの崩壊、さらにはその分裂を望んでいました。ロシアの戦略核兵器、そして世界各地におけるアメリカの政策や行動に対抗してやまないプーチン氏の行動に対するアメリカの政治家たちの懸念、そしてさらには、世界における西側の自由主義的国際体制に取って代わるロシアと中国の連携により、アメリカはあらゆる機会を利用してロシアの力の弱体化を目論むようになりました。

実際、西側諸国、特に米国の政策や行動に注目すると、ウクライナ戦争の継続と拡大の見通しはこれまで以上に高まっています。重要なことは、アメリカ国内政治の場では、ウクライナ戦争に対するバイデン政権の政策への反対派が多いということです。

2024年米大統領選挙への出馬を表明しているジョン・F・ケネディ元米国大統領の甥ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、ウクライナ危機はアメリカによって「ロシアと米国の代理戦争」と化したと述べました。ケネディ氏はまた、「アメリカはバイデンが述べた理由で戦争を望んでおり、ウクライナ戦争の本当の目的はロシアの体制転覆であった」と強調しています。アメリカ政府とその西側同盟国は、ウクライナに1000億ドル以上の軍事装備と武器を提供しており、このようにしてウクライナ戦争の長期化と、東ヨーロッパ地域の広範囲の破壊のための下地を作ってきたのです。

この点に関する最新の動きとして、米国はウクライナに対する8億ドル相当の武器支援の一環として、ウクライナに大量のクラスター爆弾を供与することを決定しました。この禁止兵器はその性質上、できるだけ多くのロシア軍の殲滅と、その軍備の破壊を目的としてウクライナに送られます。しかし、クラスター爆弾は地上で小さな子弾に分裂するため、長期間残留するだけでなく、民間人に大きな危険をもたらします。

実際、クラスター爆弾は非人道的な影響を引き起こすことから、国際禁止条約が創設されました。この条約は2008年に署名され、これまでに111か国が加盟しました。そして、12か国は文書に署名しましたものの、まだ批准していません。

コリン・カール米国防次官(政策担当)は、ウクライナへのクラスター爆弾の提供が民間人の殺傷を引き起こす可能性があることを認めつつ、「ウクライナの民間人にとって最悪なことはロシアが戦争に勝つことだろう」と述べました。もっとも、クラスター爆弾の提供という米国の前代未聞の行動は、ドイツ、英国、スペインを含む一部の主要なNATO加盟国の反対に加え、ロシアからも激しい反応に直面しています。

ロシア安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長は、ウクライナへのクラスター爆弾提供に米大統領が同意したことに触れ、「寝ぼけたジョーは、終末的な戦いを求めている」と述べました。ウクライナへのクラスター爆弾供与にバイデン氏が同意してしまったは、世界を危険な奈落の底に突き落とすことになるのです。

 


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