水上生活強いられる難民たち:英国の人権の実態
英ポートランドの港のはしけ(平底船)に設置された「ビビー・ストックホルム(Bibby Stockholm)」は、人権をうたう英国に希望を抱いた難民たちが最後にたどり着く場所です。
国際通信イランプレスによりますと、この移民収容船「ビビー・ストックホルム」は、現在難民たちが居住を望むことができる唯一の場所となっています。
危険を伴う水上での生活、これが英国のいう人権の実態です。
3階建てのこの施設は、コンテナ状の部屋が並び、難民たちに収容所にいるような感覚を与えます。
情報筋によると、ここに住む難民は、大半がアフガン人だということです。
アフガニスタンは米英による20年間の占領で国土が荒廃し、最低限の生活条件も満たせなくなった同国の人々は、新しい生活をめざして、困難を押して英国にやって来たのです。
英国のピーター・フォード元駐シリア大使は、「難民問題は英国政府やその同盟国により作られたものだ。非人道的なのは、難民問題をもたらした英国による他国への軍事・経済介入だ」と述べています。
英国政府は、難民たちを収容するホテルの費用がかさんでいるとして、ホテルにいる難民5万人のうち3万人を他の場所に移動させることを計画しており、ビビー・ストックホルムには500人を移動させるとしています。
しかし、この計画を批判する人々は、この施設を水上に浮かぶ刑務所だとして、「500人をわずか222部屋に収容するのは、これまで以上に難民たちに精神的苦痛を与える」と訴えています。
このような英国政府の方針には、同国の消防士組合を含めた多方面から抗議が寄せられています。
同組合は、ビビー・ストックホルムの収容人数は、「当初の200人から500人に増やされた。このために死者が出る可能性がある」としました。
また、弁護士団体も政府の方針に反対の姿勢をとり、ビビー・ストックホルムが安全でないとして、同施設の収容者がこれ以上増加するのを阻む法的手段をとろうとしています。
しかし、こうした反対にもかかわらず、ジェンリック移民担当相はBBCラジオの番組で、「難民たちはビビー・ストックホルムに行く以外に、英国内に無料で住む道はない」と語り、難民たちを脅迫しました。
こうした英国政府の難民政策は、関連各法に違反するものです。
難民条約第3条では、「締約国は、難民に対し、人種、宗教または出身国による差別なしにこの条約を適用する」と定められています。
また同21条では、締約国は「合法的にその領域内に滞在する難民に対し、住居に関し、できる限り有利な待遇を与えるものとし、いかなる場合にも、同一の事情のもとで一般に外国人に対して与える待遇よりも不利でない待遇を与える」としています。
ビビー・ストックホルムでの難民収容は、彼らに対する英国政府の常軌を逸した措置であり、難民たちの唯一の希望を叶わぬ夢に変えてしまう危険なやり方だと言えます。