視点
アルコニス受刑者の妻、夫の昇進取り消した米海軍に「恥を知れ」
日本で交通事故を起こして2人を死亡させ、刑期途中に米国に移送され12日に仮釈放された米海軍大尉のリッジ・アルコニス受刑者の妻ブリタニー・アルコニス氏が、事故を理由に夫の昇進を取り消した米海軍を名指しして「恥を知れ」などと批判しました。
リッジ・アルコニス受刑者は2021年5月、家族で静岡県富士宮市内の道路を運転中に飲食店の駐車場に突っ込み、2人が死亡、1人が重傷を負いました。
アルコニス受刑者は日本の裁判所で裁かれ、2022年7月の二審判決で禁固3年の実刑判決が確定しました。しかし、刑期途中の昨年12月、米国に移送され、今月12日には米仮釈放委員会の決定により仮釈放されました。移送後すぐに仮釈放されたことや、アルコニス受刑者および家族から事故の遺族に向けた謝罪の言葉がないことから、日本国内を中心に批判が高まっています。
こうした中、アルコニス受刑者の妻で、同受刑者の釈放嘆願運動「Bring Ridge Home(リッジを家へ)」を指揮しているブリタニー・アルコニス氏は、19日のXへの投稿で、「すべての軍人の配偶者へ。あなたの軍人のキャリアは、あなたのあらゆる行いや発言に影響される。リッジ・アルコニスは”私の”支援活動だけが理由で罰せられている」と投稿し、オースティン国防長官や海軍長官を名指しし、「Shame on you(恥を知れ)」と罵りました。
ブリタニー氏はこの投稿で、元米海兵隊員で軍人家族の支援活動を行っているアンドリュー・ユーバンクス氏の投稿を引用し、海軍がアルコニス受刑者が起こした事故、およびそれに対する日本国内の世論を理由に同受刑者の昇進を取り消したと批判しています。
ユーバンクス氏の投稿によれば、昨年5月に在日米海軍司令官のカール・ラフティ准将が、アルコニス受刑者の起こした事故が「日本国内外のSNS上で広範な議論を呼んでいる」として同受刑者の昇進に否定的な見解を示したということです。
アユーバンクス氏は、アルコニス受刑者は2021年10月1日付で昇進することが決まっていたものの、「ラフティ准将および在日米海軍司令部が権力を濫用し、いたずらにメディアの関心を煽りアルコニス氏を罰した」と主張しています。
ここ数日、アルコニス受刑者とブリタニー氏は、FOXやCNNなどのニュース番組に生出演し、事故当時の記憶や現在の心境について語っています。しかし、いずれの番組でもアルコニス受刑者が事故の遺族への思いをわずかに述べただけで、謝罪の言葉はありませんでした。妻のブリタニー氏に至っては、夫と再会の喜びを隠すこともなく露わにしています。
異例の仮釈放に飽き足らず、昇進まで求めて言葉を荒げる家族や支援者の目に、事故で死傷した3人と遺族はみじんも映っていないようです。