パレスチナの子どもたちを傷つけるドイツ製兵器
パレスチナ関連の複数の国際NGOや団体は、ドイツ政府がパレスチナを占領するイスラエル政権への武器輸出を停止すべきだとして裁判所に訴えられたことを発表しました。
複数の統計によりますと、ドイツ政府は2024年の最初の3カ月間に、52億ユーロ相当の軍事装備について輸出の最終許可を出しました。同国経済省はこれについて、輸出の9割は近隣の同盟国向けであるが、74%はウクライナ向けであり、そのために今年四半期の速報値が例年に比べてはるかに高くなっていると説明しています。
重要な顧客であるシオニスト政権イスラエル
国際的研究機関のSIPRI・ストックホルム国際平和研究所が3月に公表した分析結果では、ドイツとアメリカはパレスチナを占領するイスラエル政権が輸入する武器の約99%を供給しており、2019年から2023年の4年間にドイツからの輸入が占めた割合は30%となっていました。
ドイツ政府は、自国製兵器のイスラエル政権への輸出を優先的に承認しており、ショルツ首相はパレスチナ抵抗勢力による「アクサーの嵐」作戦後、同政権への武器輸出を加速させています。
2023年にドイツがイスラエル政権へ輸出した武器の総額は、前年比で10倍の3億5400万ドルに増加しました。このうち約2200万ドルは、携帯・移動が可能な対戦車兵器3000基、機関銃または全自動・半自動式銃器用の弾薬50万発に充てられています。
パレスチナ人団体所属弁護士がドイツ政府を告発
この件に関して懸念が増大する中、ドイツの弁護士たちはベルリンの裁判所に、イスラエル政権へ輸出される武器は重大な国際法違反行為に使用されていることから、ドイツ政府にこのような輸出の停止命令を出すよう訴えました。
各報道によれば、これは欧州で活動するパレスチナ人団体所属の弁護士からの訴えとしては2件目になるということです。
国際NGOのヨーロピアン法・正義センター(ECLJ: European Centre for Law and Justice)やパレスチナ公共外交研究所(PIPD:Palestine Institute for Public Diplomacy)などによれば、この弁護士たちは訴えにおいて、ドイツ政府が人々の命を守りパレスチナを占領するイスラエル政権への武器輸出を停止すべきだとしました。
弁護士たちは、ドイツがイスラエル政権にとり欧州で最大の武器供給元であるなどの事実を証拠として挙げ、イスラエル政権が輸入した兵器の大半は、「アクサーの嵐」作戦が実施された昨年10月7日以降に供与されたものだとしました。
軍備管理関連法に基づけば、ドイツ政府によるイスラエル政権への武器供与や後方軍事支援は、同国の国際的義務に違反しています。
ドイツでの武器輸出承認は、それらが同国が国際法の下に負う義務に反して使用されないことを基準に判断されますが、イスラエル政権は、パレスチナ・ガザの人々を攻撃する戦争において、人権および国際人道法を踏みにじっています。
ニカラグアによるドイツ告発
ニカラグア政府はこの件をめぐって先日、オランダ・ハーグにあるICJ・国際司法裁判所に訴状を提出し、ドイツによるシオニスト政権イスラエルへの武器輸出および軍事支援を停止させるよう求めました。
ニカラグアは訴状で、ドイツ政府をガザでの大量虐殺および国際人道法違反を助けているとして非難し、駐オランダ・ニカラグア大使もICJにおいて、「ドイツ政府はイスラエル政権への軍事支援を継続することで、自国の国際法における義務を無視している」と述べました。
同大使はさらに、「ドイツが(イスラエル政権の)大量虐殺をはっきりと知っていたことに疑いの余地はないが、同国は未だこの政権への支援を続けている」と強調しました。