パレスチナ人救済に必要な国際法からの植民地主義思考排除
英ロンドンに拠点を置くニュースサイト「ミドル・イースト・アイ」は、「国際法に根を張る植民地主義思考と西側の狂信がその知識生産において欧州に基軸を置く行動を取らせ、世界の他の地域の権利を組織的にないがしろにしている」としました。
【ParsToday国際】ガザの人々に対し継続的に暴力と抑圧が加えられている中、世界全体の人々の意志と各政府・諸機関の行動との間に見られる乖離は、国際システムに対する人々の不信感を増大させていますが、何より重要なのは、これがおそらく国際法自体に起因していることです。そしてこうした背景のもとに、国際法の機能を再検討する必要性が現在、非常に高まっています。
国際法は、世界の政治的・経済的関係をさまざまなレベルで整え、平和、人権、環境保護を促進すると主張しているものの、これまでの歴史が証明しているように、ほぼ西側が行う植民地主義に奉仕し、「リベラル」という名目のもとに西側に特権を与えてきました。
さらに、我々も目にしているように、国際司法裁判所と国際刑事裁判所はイスラエル政権を法的に追及する措置を求められていますが、その行動は十分なものとは言えません。
この点に関し、ミドル・イースト・アイは記事において、「国際法に根を張る植民地主義思考と西側の狂信により、グローバル・サウスを脇へ押しやっている。それらはまた、彼らの知識生産においても欧州に基軸を置く行動を取らせ、世界の他の地域の権利を組織的にないがしろにしている」と指摘しました。
ダブルスタンダード
イスラエル政権が昨年より行うガザ戦争が、単に大量虐殺であるだけでなく、組織的な住居の破壊など他の重大犯罪も含むものであることは、ほぼ一致した認識となっています。
西側諸国はロシアに対し「国際法を遵守していない」と定期的に批判していますが、その一方で、イスラエル政権に対してはこのようなアプローチを取ろうとはしません。
ソ連が崩壊した後のポスト冷戦期、いわゆる「リベラルな国際秩序」は先進的な人権、法の支配、民主主義的価値観を持つと主張されていました。しかし、このような「リベラルな価値観」は、グローバル・サウスでの平等や繁栄には結びつかず、むしろ、パレスチナ人をはじめとした同地域の人々への抑圧を助けてきました。
国際自由主義秩序が植民地主義時代にルーツを持つことは、その制度にも現れています。国連安全保障理事会の常任理事国5カ国の絶対的な拒否権は、主権国家間の平等な関係を損ない、世界政治に亀裂を生み出しています。
ミドル・イースト・アイの記事はさらに、国際機関で与えられている拒否権や軍事力が、多くの地域で紛争を起こすのに利用されていると指摘しています。一方、安保理はガザに対する包括的行動を中断し、西側諸国の政府も具体的な措置を講じてはいません。現在の国際的システムは、世界的な公正の重要な障害となっています。そのため、国際法から植民地主義思考を取り除く必要があるのです。
国際法に潜む植民地主義思考
実際、現代の国際法の秩序は、全般に植民地的関係の視点から成り立っています。
1945年以降の戦後期に起きた脱植民地運動で、国際法の中の植民地主義色は弱められましたが、それでもなお冷戦期、世界のシステムは新たに独立した第三世界の国々を疎外し続けました。そして、そのような国際法の植民地主義に基づく部分は、新植民地がグローバル・サウスの国々に不利益をもたらすのを助けてきました。
国連が現代の問題に対処する力がないことを示した現在、同機関が改革を必要とし、多くの問題が解決されるべきであるという事実は、広く認識されています。そして、イスラエル政権が行うガザ戦争の状況も、国連の構造改革の必要性をこれまで以上に高めています。
イスラエル政権による違法な占領と、それによりパレスチナ人が難民化し苦しめられていることには、十分すぎるほどの証拠があります。そのため将来的な世界戦略は、パレスチナ国家の承認とパレスチナ人の祖国帰還の権利の保証を含むものであるべきでしょう。
また、パレスチナ人の自決権も、各国際機関、裁判所、政府や世界世論に支持されるべきだと言えます。国際司法裁判所が最近表明したように、パレスチナ人の自決権をなくすべくイスラエル政権が行っている違法な占領・占拠によりもたらされるあらゆる障害を確実に取り除くことは、すべての国に課せられた責任なのです。
引用元: ミドル・イースト・アイ「War on Gaza: Does international law even matter anymore?」(https://www.middleeasteye.net/opinion/war-gaza-does-international-law-even-matter-anymore)